アクロニス・ジャパンは5月30日、都内でメディア向けに同社のサイバープロテクションに関するラウンドテーブルを開催し、本社からAcronis プロダクトおよびテクノロジーポジショニング グローバルディレクターのアレクサンダー・イヴァニューク氏が出席した。
冒頭、イヴァニューク氏は「現在、われわれの重要なミッションは、すべてのデータ、アプリケーション、システムの保護という意味でのサイバープロテクションだ」と、述べた。
これは、昨今ではプライベート、ビジネス問わず、あらゆるプロセスはデータが主導し、同社が定義するSAPAS(Safety:安全性、Accessibility:アクセシビリティ、Privacy:プライバシー、Authenticity:真正性、Security:セキュリティ)をベースに、簡単かつ効率性、安全性を担保したサイバープロテクションを提供しているという。
イヴァニューク氏は、同社が定義するサイバープロテクションについて「安全性とアクセシビリティはデータ保護に、セキュリティはサイバーセキュリティに関連し、これにプライバシーと真正性を加えることでサイバープロテクションの全体像が完成し、どのようにバランスを保つかが重要となる」と説く。
同氏は「われわれは、データ保護とセキュリティに関する独自の専門性を備え、サイバープロテクションの5つの要素すべてを提供できるソリューションを持つ。イノベーションが最大の特徴であり、これまでにも実行中システムのフルイメージバックアップやUniversal Restore(任意のハードウェアまたはハイパーバイザーへの復元)などを提供したほか、最近ではより高度なデータ保護を実現するAcronis Activ Protectionや、ブロックチェーンをベースにしたAcronis Nptaryなどを提供し、イノベーションを継続している」と、胸を張る。
同社のサイバープロテクションを支える技術のイノベーションとして、あらゆる環境・ワークロードに対応する「Anydataテクノロジー」、スケールアウト、コスト効率、高性能、多目的を特徴とした「Software Defined Infrastructure(SDI)」、データ管理・プライバシーなどを実現する完全制御と柔軟性を備えた「ハイブリッドクラウドアーキテクチャ」、デジタル公証、電子署名、データ真正性を担保する「ブロックチェーン」、動作のセキュリティ、自動構成、データ分類などを実現する「AI(人工知能)」の5点を挙げている。
これら5つの技術を活用していることを踏まえ、イヴァニューク氏は「サービスプロバイダーとエンドユーザー向けに完全自動化されたサイバープロテクションを提供することが目標だ」と述べた。
そして、同社のサイバープロテクションは「Acronis Cyber Infrastructure」「Acronis Cyber Platform」「Acronis Cyber Sevices」のレイヤーで構成しており、それぞれのレイヤーについて同氏が解説した。
Acronis Cyber Infrastructureのベースはアプライアンス(日本でアプライアンス製品は未提供)で、最先端のワークロードに対応しており、信頼性、効率性を担保し、汎用的で使いやすく、パフォーマンスに優れ、革新的なサイバープロテクションを実現するという。
Acronis Cyber Platformは、同社のコアプラットフォームであり、同社の既存サービスで構成し、SDK(ソフトウェア開発キット)やサンプルコードによりサポートされるAPIを備える。具体的には管理APIやサービスAPI、データサービスSDK、データデスティネーションSDK、データ管理SDK、サービスSDKなどとなる。
Acronis Cyber Sevicesについては、特に「Acronis Total Protect」について説明された。同ソリューションはバックアップと障害復旧、マルウェア・ランサムウェアに対応したAIベースの保護、リモートアシスタンス、セキュリティツールを統合している。
イヴァニューク氏は「セキュリティに関しては重要であり、プロアクティブ(防止)、アクティブ(検知)、リアクティブ(対応)の3段階で対応する」と話す。
プロアクティブでは脆弱性評価/パッチ管理、機械学習によるドライブの予測分析を行う。アクティブは、マルウェアに対する保護(動作、ヒューリスティック)、エントロピー分析メモリベースの攻撃検知(機械学習)、自己保護など。リアクティブではバックアップ/復元(オンプレミスおよびクラウド)、障害復旧(同)となる。
これにより、マルウェアと無縁の復元や感染を繰り返さないほか、スマート保護プランの作成、不良パッチからの保護、継続的なバックアップによるRPO(Recovery Point Objective:目標復旧時点)の改善、データ保護マップの作成、フォレンジック検査の簡素化などを可能としている。
また、Acronis Total ProtectではIベースのHDD健全性監視機能を提供しており、これは機械学習とS.M.A.R.T(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology)レポートを組み合わせを活用し、HDDの障害を予測。全障害の80%以上の予測を可能とし、98.5%の予測が的確だという。さらにHDDのアラートが発せれた場合は自動操作を実行でき、障害が発生しているHDDのから重要なファイルのバックアップなどを可能としている。
最後に、同氏は「Acronis Total Protectにより、ビジネス継続性や単一エージェントの共有によりパフォーマンスを確保できる。また、ウイルス対策やバックアップ、パッチ管理などオールインワンのセキュリティソリューションであり、AIをベースにしたアンチマルウェアに関しては高いレベルを持つ。そして、要求があれば、ユーザー、パートナーの既存技術と組み合わせることが可能だ」とアピールしていた。