松原農園とNTT東日本岩手支店は5月29日、岩手県紫波町および岩手中央農業協同組合(JAいわて中央)の協力のもと、NTT東日本が提供する農業向けIoTサービス「e センシング for アグリ」と「おてがる IoT パッケージ」を利用した実証実験を開始した。

シャインマスカットなどの大粒種ブドウは、改良が進んだことで食味や食べ応え食べやすさなどの点で需要が向上しており、紫波町内では大粒種ブドウの植え付けが増加しているものの、品質、生産性の向上につながる栽培ノウハウの蓄積が必要とされているという。

松原農園では、サイズや品質などの出荷規格に則った大粒種ブドウの栽培ができる生産農家を地域に増やし、ブドウの産地として盛り上げたいと考えているほか、紫波町は地域課題の解決に取り組むモデルに赤沢地区を選定し、支援しており、若手農家を中心に農業を基軸とした地域づくりに取り組み、主力作物である果樹の品質向上によるブランド化や、IoT活用による農作業の省力化が必要とされているという。

また、JAいわて中央では同地域果樹生産における品質および生産量の向上と安定化、効率的な営農支援を実施するために環境データの活用方法について検討を進めている。

実証実験では、NTT東日本の圃場ごとのモバイル回線および電源・電池が不要なセンサーネットワークとオンラインストレージサービスを活用したソリューションであるe センシング for アグリと、「ギガらく Wi-Fi」をIoTゲートウェイとし、IoTセンサ装置、クラウド、運用サポートをセットにしたソリューションのおてがる IoT パッケージを用いて、圃場における栽培環境データ取得システムの整備、地域の生産者間での情報共有基盤の整備を行う。

具体的には「IoTセンサ装置による栽培環境把握」「ネットワークカメラによる圃場の監視」「スマホアプリなどによる栽培ノウハウの共有」の3項目に取り組む。

IoTセンサ装置による栽培環境把握では、IoTセンサ装置を圃場に設置することで、栽培環境データ(温湿度、照度、土壌性質など)をリアルタイムに把握できる環境を整備することに加え、採取したデータをクラウド上に蓄積することで、栽培環境データの推移を観察し、栽培方法の見直しに活用する。

ネットワークカメラによる圃場の監視については、遠隔操作で撮影画角を調整できるネットワークカメラを圃場に設置し、離れた場所から圃場内の状況を監視し、農園主や営農関係者による圃場状況の確認の他、鳥獣被害対策、防犯用途での効果を検証する。

スマホアプリなどによる栽培ノウハウの共有に関しては、栽培環境データと連携した作業管理アプリを活用し、栽培環境データと作業の実施状況について周辺農家と情報共有を行い、栽培ノウハウの共有における効果を確認する。実証実験の期間は6月末までを予定している。