日本マイクロソフトは29日、同社のテクニカルカンファレンス「de:code 2019」においてトヨタ自動車のMixed Reality活用の取り組みを発表した。

楽しく快適なドライブの安全を着実に支えてくれる自動車の修理や点検業務。エンジニアが参照するする手順書や車種ごとの修理書は細かな図説入りで分厚いものが多い。安全を守るということがいかに多くの人たちの綿密な業務で支えられているか?これを見るだけでもよくわかる。

トヨタ自動車は、紙の作業手順書・修理書に加えて、Webのマニュアルが用意されているが、スペースに加えイラストの部品や配線図との実際の車体との照合時間や紙のマニュアルでの表現の限界などから、修理や点検業務でのMixed Reality(MR/複合現実)活用に着目。YouTubeに公式映像も公開されているが、現実世界と仮想空間とが密接に結びつくMRでは、目の前にある車両の位置に重ね合わせた3D資料が現れる。2Dでは限界のある図版を操作可能な3Dで表現、実際のクルマの上にそのまま表示できる"直感的"な理解、そして膨大なマニュアルから両手が解放される業務とメリットが多いようだ。

正確で直感的な視覚情報は、新人や未経験の整備士でも短期間に作業習熟度の向上も見込めるが、これらデータの作成にはHoloLensデバイスでのコンテンツ作成やスキル習得をサポートするDynamics 365 GuidesやAzure AIなどが活用されている。既にトヨタ自動車では3D手順書や修理書の開発や検証を行っており、2019年内にはHoloLens 2を導入、トヨタ販売店へ順次展開することを予定している。

  • 車体に重ね合わせてその内部構造が表示される様子(日本マイクロソフト資料より)|

    車体に重ね合わせてその内部構造が表示される様子(日本マイクロソフト資料より)