NTT東日本は5月22日、農業法人を主なターゲットに、AIやIoTを活用した環境制御ソリューションを提供する100%子会社「株式会社NTTアグリテクノロジー」を7月1日に設立すると発表した。
本社は東京都新宿区のNTT東日本本社内に置き、従業員数5名程度でスタート。5年後に50億円、10年後に100億円の売上を目指す。
新会社がターゲットとするのは、太陽光利用型の施設園芸(ビニールハウス)分野。同社はこれまで、農業分野において、各地域で協働実証を行ってきた。新会社はそれらで蓄積してきたノウハウをべースに、IoT/AIを活用した温度、湿度、CO2などの環境制御や、環境・生育データの分析による収量予測、生産から販売、労務管理や経理等のバックオフィスシステムまでの各業務プロセスのデータの統合・相互連携するシステムを提供。「次世代施設園芸」のトータルソリューションとして販売していく。
また、これらのソリューションを開発していくにあたり、山梨県中央市内に約1haの自社圃場を開設し、2020年4月以降、自らリーフレタスやキュウリを生育することで、ノウハウの蓄積を図っていく。この運営については、農業法人サラダボウルと協業し、アドバイスをもらう。実証ファームとしての自社圃場は、順次拡大・展開することをめざしている。
農業分野での新会社設立の背景には、農業生産者の高齢化等に伴う就業人口の減少する一方、認定農業者の法人化や一般法人の農業への参入等により、法人経営体数は2010年と比較して約2倍と、増加傾向にある点があるという。
また、同社は固定通信の売上が減少しており、それを新しいビジネスでカバーしていくという狙いもあるという。
サービス提供は、NTT西日本エリアも含めて全国で、将来、NTT西日本と競合するのではという質問に対し、NTT東日本 経営企画部 営業戦略推進室 担当部長 酒井大雅氏は「NTT東日本の100%子会社でスタートするが、グループ内で話をしており、出資構成については、柔軟に対応していく」と回答し、NTT西日本も含め、他社と連携していく可能性があることを明らかにした。
また、NTTテクノクロスも同様のサービスを提供しているが、施設園芸の部分については、グループ内で統合していく意向を示した。
準天頂衛星みちびきを利用した無人トラクラーやドローンを活用する部分のビジネスについても手掛けるのかについて酒井氏は、「スタート段階では、施設園芸にフォーカスする。NTTグループではいろいろな取り組みを行っており、お客様の必要に応じて連携していく」と、将来の可能性の1つとしてはありえるが、当面はないという認識を示した。