日本テラデータは5月22日、Fusicとエクイニクス・ジャパンと協業すると発表した。これにより、FusicとはIoT向け分析システムを共同提案を、エクイニクス・ジャパンとはクラウド環境構築の提案を開始するという。
FusicとIoT向け分析システムを共同提案
今回の合意を踏まえ、仮想IoTデバイス環境をSaaSで提供する「mockmock」を開発・運用しているFusicとは、mockmockによる仮想的なIoTデバイスと、テラデータが提供する次世代分析プラットフォーム「Teradata Vantage」をパブリッククラウド上で組み合わせ、効率的なIoT向け分析システムの構築促進に向けた共同提案を開始する。
両社の技術協力により、IoT向け分析システム開発の効率化や開発期間の短縮化が可能となり、開発費用の削減も期待できるという。主に自動車産業など製造業において、IoT分析システムの事前負荷検証が難しいIoTデバイスのプロトタイプリリースまでシステム側の開発ができないなど課題を解決するという。
mockmockは、パブリッククラウドが提供している一般的なコネクタに対応しており、Amazon Web Services(AWS)のAWS IoT CoreおよびAmazon Kinesis Data Streams、Microsoft Azure(Azure)のIoT Hub、Google Cloud Platform(GCP)のCloud IoT Coreをはじめとした環境で開発を可能としている。
エクイニクス・ジャパンとはクラウド環境構築の提案を開始
一方、エクイニクス・ジャパンとは同社プラットフォームを利用し、パブリッククラウドを中心としたクラウド環境構築の提案を開始する。
エクイニクスが各国に保有するInternational Business Exchangeデータセンター(IBXDC)やクラウドサービスとのプライベートな接続の利用により、柔軟でセキュアな分析環境やソリューション提案ができるという。今後、海外展開を検討する日本国内の企業にも同社社のプラットフォームでビジネスニーズに基づき、分析環境およびソリューションを提案する。
今回の協業で得られるメリットは「オンプレミスとパブリッククラウドをセキュアに接続し、ハイブリッドクラウドの分析環境を提供」「複数のクラウド・サービスへの接続を可能にしたマルチクラウド環境の提供」「複数国にまたがる各国データ収集基盤をシームレスに接続し、最適な分析環境の提供」の3つ。
ハイブリッドクラウドの分析環境を提供することに関しては、セキュリティポリシーが厳しい顧客やFISC、PCI-DSSをなどのセキュリティ標準がある金融業界の顧客に対して、プライベート接続によるセキュアなシステム構築ができるという。例えば、クラウドサービスプロバイダが提供するクラウド環境に個人情報を含む秘匿データを配置したくない、同社のオンプレミス製品を最大限活用するためDWHをエクイニクスのIBXDC側に構築し、そのほかのビジネスアプリケーションをパブリッククラウド側に構築するような顧客に、ハイブリッドクラウド環境の構築を可能としている。
AWSとIBXDCをAWSの提供するDirect Connect(プライベートな接続サービス)で接続し、顧客が契約しているIBXDCとパブリッククラウドサービスの間をセキュアで、低レイテンシでかつ帯域の大きいネットワークで接続が可能。AWS以外の主要パブリッククラウドサービスのAzure、GCP、IBM Cloudなどもプライベートな接続サービスを提供しているため最適な環境を構築することが可能。GCPやIBM Cloudの場合、テラデータはクラウドイメージを提供していないが、IBXDCにIntelliFlexやIntelliBaseを設置することで、同社のオンプレミスのDWH製品とハイブリッド環境を構築することをができる。
マルチクラウド環境の提供については、ハイブリッドクラウド環境に加え、複数のパブリッククラウドを利用する顧客にマルチクラウド環境の構築を可能とし、AWSのDirect ConnectとAzureのExpress Routeを用いて、IBXDCとプライベートに接続している。
例えば、部門ごとに別々のパブリッククラウド環境を利用している場合、IBXDCをハブとして各部門間でデータを共有する仕組みを容易に構築が可能となるほか、特定のパブリッククラウドで障害が発生した場合、別なパブリック・クラウド上でバックアップの本番システムを起動することにより、ダウンタイムを最小化し、ビジネスの機会損失を最小化することも可能としている。
複数国における最適な分析環境の提供では、複数国のクラウドサービスを使用し、データ移動やデータコピーなどに課題を抱える顧客にIBXDCをハブとしたハイブリッドおよびマルチクラウド環境の構築を可能にするという。
例えば、各国でデータ収集基盤が個々に構築されており、場合によっては異なるパブリッククラウドを利用しているケースでは、異なるパブリッククラウド間で安全かつ、高速にデータ転送するのは困難となるためIBXDC間の接続サービスを利用することで、異なるパブリッククラウド上のデータ収集基盤はそのままに、効率的、高速にデータ転送をする仕組みを容易に構築できるという。