豪雨による都市道路などの浸水をリアルタイムで予測するシステムを開発したと、早稲田大学と東京大学の共同研究グループが20日発表した。近年増えているゲリラ豪雨に見舞われた時の敏速な浸水対応や住民避難などに役立つと期待される。研究グループは6月末までに東京都23区を対象に試験運用を開始し、東京五輪で国内外から多くの人が東京を訪れる2020年の東京五輪開催時までの本格運用を目指すという。

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    2005年に発生した東京都杉並区の豪雨を対象としてS-uiPSにより計算された東京都23区の浸水深マップ(提供・早稲田大学/東京大学)

研究グループメンバーは、早稲田大学理工学術院の関根正人教授、東京大学地球観測データ統融合連携研究機構の喜連川優教授、生駒栄司特任准教授、山本昭夫特任助教ら。

このシステムは、下水道や都市河川といった都市内の雨水の流れを力学原理に基づいて一体的に計算することで、浸水を精緻に予測する。このシステムの開発では、雨水の流れに関わる多様なインフラ情報をあらかじめコンピューターに大量に組み込んだ。予測に際しては、250メートル四方ごとの雨量を1分ごとに配信する国土交通省のデータや気象庁の降雨予報データを入力。下水道や都市河川などを流れる雨水の量をピンポイントで算出して「浸水深」を地図の形で表示する仕組みだ。

開発されたシステムは「S-uiPS」と名付けられ、東京都23区以外の大都市への応用も可能だという。

大気の温度が上がれば、含むことのできる水蒸気量が増えるため、地球温暖化が進むと極端な豪雨が増えると予想されている。降雨は都市部では下水管などを通って河川や調整池に流れるが、台風やゲリラ豪雨により降雨量が想定処理量を超えると、あふれた雨水が地下街やくぼんだ道路などに流れ込んで大きな被害を出す。

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