Dell Technologiesは、4月29日~5月2日、米国ラスベガスでプライべートイベント「Dell Technologies World 2019」を開催したが、この中で発表されたものの中で、もっとも重要なものが「Dell Technologies Cloud」戦略だ。5月21日、日本法人が新情報を含め、あらためて説明会を開催したのでレポートする。
「Dell Technologies Cloud」は、「VMware Cloud Foundation」(VCF)環境を拡大し、VMwareの管理ツールを使って、エッジ、オンプレミス、クラウド上の各VCF環境を一元的に管理し、一貫性のあるオペレーションが行えることを目指している。それに向け同社は、自社インフラでのVCF対応の拡大、パブリッククラウドでのVCF環境の拡大の2つの戦略を推し進める。
Dell Technologies(デル) 最高技術責任者 黒田晴彦氏は「Dell Technologies Cloud」について、「ストレージやサーバなどの物理的な機器をクラウドから制御しましょうということだ。あらゆるオンプレミスの機器がクラウドから見えてくる。オンプレミスがクラウド化していくという戦略だ。ハイブリッドクラウド、マルチクラウドが簡単に実現できる。コアにあるのは、VMware Cloud Foundationで、これを中核に据えて、Dell EMCの製品がVCFを標準でサポートするように変わっていく」と説明する。
Dell Technologies Cloud向けに提供されているインフラソリューションとしては、クラウドプラットフォームとData Center as a Serviceがある。
クラウドプラットフォームでは、VCFを組み込んだハイパーコンバージドインフラ(HCI)とコンバージドインフラ、およびVCFの動作が検証されたVMwareから認証されたハードウェア構成(サーバ、ストレージ、ネットワーク)がある。
HCIはすでに販売開始済みで、VxRailにVCFを搭載して提供。コンバージドインフラは、今後、提供する予定。認証済みのハードウェア構成は、今後順次提供していく。
Data Center as a Serviceとしては、イベント中に発表された「VMware Cloud on Dell EMC(Project Dimension)」がある。
現在、一部先行ユーザーが試験運用しており、2019年下期に北米でリリースされる。「VMware Cloud on Dell EMC」は、VxRailにVCFを搭載して、顧客が指定した場所に設置するもの。大きな特徴は、ハード、ソフト、サポートを含んだサブスクリプションモデルで利用できる点で、Dell EMCが現地に設置し、セットアップ。その後の管理は、Dell EMCあるいはVMwareが行う。
Dell Technologies(EMCジャパン)アドバンスドテクノロジーソリューションズ事業部 クラウドプラットフォームスペシャリスト 吉田尚壮氏は、「管理者がいない場合に最適だ。アジア圏では来年以降提供する」と語った。
パブリッククラウドでのVCF環境の拡大については、すでにAWSにおいて、「VMware Cloud on AWS」を提供済みだが、Azureでも「Azure VMware Solution」として提供が開始された(北米)。このサービスは、Azure上のサービスとして提供されるが、実際の運用はCloudSimples社が行っている。Azureデータセンターの中に、VMwareの専用の環境が用意される。今年の後半には、Dell TechnologiesグループのVirtustreamも同様のサービスを提供開始する予定だという。
黒田氏は、「VMwareのハイパーバイザーを使いながら、そのままAzure上にvMotionでもっていける。さらに、AWSやAzureが提供しているネイティブサービスが使える。従来は、Azureであれば、Azure上に環境を構築する必要があったが、そのまま利用できるので、お客様の選択が広がる」とそのメリットを説明した。