米MegaBotsが開発した巨大ロボット「Iron Glory」が日本に上陸、5月17日、「CHIMERA GAMES Vol.7」の前夜祭にてお披露目された。Iron Gloryは、全高4.5m、重量6tの2人乗りロボット。RDSと三笠製作所がMegaBotsと業務提携したことで来日が実現したもので、今後1年間、国内のイベントで活用していく計画だという。

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    RDSの杉原行里社長(左)と三笠製作所の石田繁樹社長(右)。中央はMegaBots共同創業者のMatt Oehrlein氏

MegaBotsは2017年、倉田光吾郎氏が開発した「クラタス」との間で、日米巨大ロボット対決を行ったことで知られる。今回来日したIron Gloryは、クラタスとの初戦に登場した機体。このとき、Iron Gloryはクラタスに敗れたものの、第2戦に登場した「Eagle Prime」がリベンジを果たし、対戦成績は1勝1敗となっていた。

日米巨大ロボット対決の動画。非公開で行われたが、対戦場所は日本だったことが明らかにされている

Iron Gloryは、24馬力のエンジンを搭載。クローラで自由に移動できるほか、両腕には"武装"もあり、Tシャツを丸めた"砲弾"を発射することが可能だ。

幕の中から「Iron Glory」が登場。前進して上半身を左右に旋回させた

MegaBots共同創業者のMatt Oehrlein氏は、「私は子供の頃、テレビゲームや映画などで巨大ロボットを見ながら育った。大学で電子工学を学んでいたとき、気が付いたのは、そんなロボットを実現できるのではないかということ。それでMegaBotsをスタートした」と、子供の頃の体験がきっかけとなってロボット開発を始めたことを紹介した。

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    Iron Gloryは膝の屈伸が可能。膝を伸ばすと、高さは4.5mにもなる

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    こちらはしゃがんだ状態。このときの高さは3.6mとのこと

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    Iron Gloryは2人乗りだ。Oehrlein氏は後部座席で操縦していた

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    左右にあるクローラで走行する。最高速度は時速4kmほどらしい

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    左腕には、Tシャツ弾を発射できるランチャーを20門搭載する

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    Tシャツ弾の装填時、Oehrlein氏が使っていたのはまさかの竹箒

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    右横から見たところ。肩のところにあるのは油圧のホースだろうか

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    Iron Gloryの後部。左右のクローラを使って、案外小回りがきく

RDSと三笠製作所は今後1年間、Iron Gloryを日本国内で運用。まだ具体的な場所や日時は決まっていないものの、今後4回程度イベントを開催して収益化しつつ、ロボットの新しい活用方法を模索していく考え。

両社が視野に入れているのは、ロボットのeスポーツ化だ。RDSの杉原行里社長は、「我々は戦うためにこのロボットを日本に持って来たわけでは無い。フェアなスポーツになるよう、レギュレーションやルールを整備していきたい」とコメント。今後、自分達で2m級の遠隔操縦ロボットを開発していくという考えも明らかにした。

ゲストとして招かれていた稲見昌彦・東京大学教授は、「この大きなロボットに乗り込んでスポーツがやりたい。MITに留学していたとき、ペイントボールが面白かったが、これでやったらすごそう」とコメント。操縦席に乗り込むと、「自分の存在が大きくなった気がする。人間拡張の研究をしているが、ここまで拡張されたのは初めて」と、興奮が隠せない様子だった。

  • 稲見昌彦

    「僕が一番MegaBotsをうまく操縦できるんだ!」とお約束のセリフを言いながら、ノリノリで搭乗する稲見昌彦・東京大学教授

日本では2013年と2014年に、「ロボット日本一決定戦! リアルロボットバトル」というテレビ企画が行われたことがある。これは2m級の遠隔操縦ロボットが1対1で戦うというものだったが、両社が目指すeスポーツのロボットの大きさとしては、これが近いかもしれない。もしかしたら近い将来、プロのロボットパイロットになるチャンスがあるかも?

  • グレートキングカイザーZ

    第2回リアルロボットバトルで優勝した「グレートキングカイザーZ」