CMS(content management system)は、Webサイト構築には必要不可欠な存在となっている現在。WordPress、Joomla!やDrupalなど著名なCMSは豊富なプラグインやエッジの効いた機能なども目に留まる。しかし、商用で企業サイトを構築するにはセキュリティをはじめ、運用・管理やサポートなど使い勝手の良いオールインワンな環境が欲しいというユーザーも多いだろう。今回紹介するインフォネットの「infoCMS」は、ユーザーの使い勝手を重視したオールインワンの商用CMSだ。リリースして今年で13年目を迎える同製品が今回、春のITイベント「第28回 Japan IT Week 春 後期」内の「第13回 Web&デジタル マーケティング EXPO 春」に展示されていたのでのぞいてみた。

  • 「2019 Japan IT Week春 後期」、インフォネットブースより

    「2019 Japan IT Week春 後期」、インフォネットブースより

インフォネットは、福井発の企業として2000年にインフォ福井ドットコムからスタート、2004年に現在のインフォネットに改組。2006年に東京オフィスを開設、2008年にはマイクロソフトITベンチャー支援プログラム準認定企業に採択、2016年には東京都千代田区の大手町ファーストスクエアに本社を移転している。紙デザインや映像制作からWeb構築、システム開発や保守・運用、ホスティングと一気通貫のソリューションを持つ同社。4月にはApaman NetworkのAlexaスキル「アパマンショップ」などAI Chatbotの開発も発表している。

そんな同社が展示していたのは、看板製品の「infoCMS」最新バージョン「10」とAIを活用したチャットボット「Q&Ai(キューアンドエーアイ)」の二つだ。「infoCMS」は、5月8日に最新バージョンの10をリリースしたばかり。今回の展示会のデモは一般ユーザー向けには初披露となるそうだ。

  • 4年ぶり大規模バージョンアップをしたオールワン商用コンテンツ管理システム「infoCMS」

    4年ぶり大規模バージョンアップをしたオールワン商用コンテンツ管理システム「infoCMS」

リリースを開始して13年目を迎えるCMS「infoCMS」(公式サイト)は、標準で広告主管理、A/Bテストバナー管理やクリック数管理、ECなど数多くの機能を備える。オプションには、日本取引所のTDnet(Timely Disclosure network)や金融庁のEDINET(Electronic Disclosure for Investors' NETwork)情報の自動取得やメルマガ発行などのコンテンツ機能、プレミアムモジュールにはロードバランサーやCDN、WAFなどオールインワンの機能をCMSのラインナップとして揃えている。もちろんマルチデバイスに対応している。

今回のバージョン10でも特にこだわったのがこの編集UI。WordPressなどのCMSではダッシュボードで編集作業を行うが、これは慣れたものにとっては非常に使いやすいものだが、何も知らない初心者にとっては、機能が集中するダッシュボードでの編集作業には抵抗感がある。そこで、infoCMSの編集UIは、Webサイトを構成するコンテンツの編集部分を完全にパーツ化、編集者としてログインすることで、コンテンツ部分に編集アイコンが表示される。

クリックすることでコンテンツの編集ができるようになる。とかくシステムベースの機能が溢れるUIが多い中、作り方次第では無限のバライエティを持たせられるコンテンツ制作に集中できるロールベースの機能だ。Webサイトの見た目そのままの状態で編集することで、Web編集作業に抵抗ある年配の利用者や、初心者など属人性に左右されず安全にWebページを運用できるのだ。

  • 管理者画面からログインした後のWeb上での画面。Webサイトのコンテンツの右端部分に編集のアイコンが表示されているのがわかる。これをクリックして編集作業を行う。できるだけ、フロントのWebサイトと管理編集画面の表示が変わらないように工夫がなされている

    管理者画面からログインした後のWeb上での画面。Webサイトのコンテンツの右端部分に編集のアイコンが表示されているのがわかる。これをクリックして編集作業を行う。できるだけ、フロントのWebサイトと管理編集画面の表示が変わらないように工夫がなされている

  • クリックすると編集用のエディタが表示される。編集は通常のテキストエディタ同様に行うことができる。Webの知識がある場合は、HTMLで編集することもできる。ブースの担当者によれば、「一般的に表示するWebサイトと管理者としてログインした後の画面の表示ができるだけ変わらないようにすることに非常にこだわった」のだという

    クリックすると編集用のエディタが表示される。編集は通常のテキストエディタ同様に行うことができる。Webの知識がある場合は、HTMLで編集することもできる。ブースの担当者によれば、「一般的に表示するWebサイトと管理者としてログインした後の画面の表示ができるだけ変わらないようにすることに非常にこだわった」のだという

また、運用上で発生するリスク対策として承認フロー機能も備えており、これによりサイト管理者別に編集コンテンツを設定し、承認することでコンテンツのアップロードで発生する人的ミスによる事故リスク発生を抑制することができるようになっている。

同社はWebサイトのユーザービリティ向上のため、チャットボットサービスも展開している。それが、AIチャットボット「Q&AI(キューアンドエーアイ)」。AIには、同社が独自開発する「ELuisa(エルイーザ)」と「EMaria(エマリア)」を活用、ELuisaは、AIによる質問文章の意味理解、文章学習により自動キーワード抽出、テキスト音声変換機能、多言語翻訳機能を有している。EMariaは、クローリング、画像処理、AIによる検索ワード抽出、未回答情報を学習させる機能などを有している。

  • 進化するAIチャットボット「Q&AI(キューアンドエーアイ)」

    進化するAIチャットボット「Q&AI(キューアンドエーアイ)」

「Q&AI」は、Webサイトのよくある質問やサポート窓口、製品紹介サイトなどでの活用を想定しており、Webサイトの訪問者により素早く的確な回答を行うべく独自のAIを活用し、「機械的ではなく、人間のような愛がある表現」目指して開発されている。チャットボットでの対応データはすべて蓄積され、AIの機能向上とマーケティングデータとしての活用できる。また、AIの機能により、社内イントラ用のQ&Aとしても活用可能で、サポート窓口における、担当者の負担軽減に大きく貢献が期待できる。

  • チャットボットは、サイトに特定のJavaScriptを記載するだけでどのようなサイトにも設置可能

    チャットボットは、サイトに特定のJavaScriptを記載するだけでどのようなサイトにも設置可能

  • チャットボットに入力された質問はすべてログとして保存される。機械学習やマーケティングデータとして活用可能

チャットボットに入力された質問はすべてログとして保存される。機械学習やマーケティングデータとして活用可能|

ブース担当者によれば、実際の運用に関しては、「AIに学習させ育てていかなければならないため、AIの学習をしっかりサポートできる体制が重要」とのこと。同社では、専任の担当者を一人つけるAIサポート体制でサービスを展開している。これは、同社が掲げる"本当に使えるサービスの提供"というコンセプトから導かれている。また、先述のように同社は、AIやAlexaのスキル開発にも力を入れており、そちらの方でもすでにソリューション提供を行っている。同社の今後のAIを活用したソリューション展開に期待したい。