ATOUNは5月17日、同社の腰用パワードウェア「ATOUN MODEL Y」にアタッチメントとして搭載することで腕による荷物の持ち上げ/持ち下げをサポートする「腕の補助機能」を開発。2019年5月末より実証実験を開始することを明らかにした。

  • 藤本弘道

    右がATOUNの代表取締役社長を務める藤本弘道氏

腰+腕の別モデルを新たに開発するのではなく、MODEL Yのアタッチメントとして開発したことについて、同社では、「一から新しい腕付きモデルを買ってもらうのではなく、腕の機能を追加できるようにすることで、ユーザーの利便性を向上させた」と説明しており、すでに先行して活用してもらっている腕のサポートも欲しいというニーズがあったことも背景にあるとする。

  • ATOUN

    従来のMODEL Yは腰用であったが、そこに腕の機能が追加された

仕組みは非常に単純で、MODEL Yの上部にワイヤの巻き上げ機構を取り付け、それを手に装着するグローブをワイヤで接続。試作品では右手の人差し指に巻き上げのためのスイッチを設置し、スイッチがオンになるとワイヤが自動的に巻き上げられ、手が上に持ち上げられ、スイッチをオフになると、巻き上げる力が無くなり、ワイヤが伸びる、というものとなっている。

  • ATOUN
  • ATOUN
  • ATOUN
  • ATOUN
  • 開発中の腕の補助機能は、背中の巻き取り機構と手に装着したグローブをワイヤで接続。右手の人差し指にスイッチが用意されており、荷物などを把持した際などに、そこが押されオンになると、ワイヤが巻き取られ、荷物を楽に持ち上げることができる

また、アタッチメントという仕組みにしたことで、重量や剛性にも配慮。片腕約5kg、両腕で10kgの荷物を持ち上げることを可能としたほか、ワイヤとグローブのつながり方の工夫により、横長の荷物を棚から持ち出す際の引き寄せといったことも可能となっている。

  • ATOUN

    現場における腕の補助機能に必要とされる仕様

「当初はワイヤ式ではなく、ハードウェアのフレームを使って、SF映画に出てくるような頑強なものを考えていたが、重量が重くなることが避けられなかったほか、深くしゃがむ姿勢ができないことなど課題が見つかり、小型・軽量化を模索していった結果、この形に行き着いた」としており、小型軽量化が図られたことで、ユーザーが重さを意識しないで利用することを可能にしたとする。実際に、背負って荷物の持ち上げ/持ち下げを行ってみたが、確かに本体の重量はあまり気になるほどのものではなかった。

今回開発された腕の補助機能が得意とするのが以下の4つの機能。開発機による実証検証では、まだ人間の身体よりも一回り大きかったため、細い通路などを歩いた際に、壁や荷物に当たるという課題があったが、現在の試作機では、そこからさらに横幅、縦幅ともに削減が図られ、ほぼ人間の大きさと一体化するレベルに収まるようになっている。

  • 持ち上げ
  • 保持+移動
  • 持ち下げ
  • 棚からの引き出し
  • ATOUN

    試作品の変遷。開発が進むごとに小型・軽量化が図られていることが分かる

同社によれば、現状、安全性の検証などを含め、実用的なレベルに到達するのは早くても2020年度としている。また、すでにMODEL Yを導入しているユーザーに対しては、実用化がなった段階から優先的にアップデートを行っていく予定としている。

ATOUNの腕の補助機能付パワードウェア(MODEL Y)によるデモの様子

なお、同社では、引き続き、さまざまな分野において、どのような形で活用ができるのかの模索を行っていきたいとしており、引き続き、実証実験に協力してくれるパートナー企業などの募集も行っていきたいとしている。

ATOUN MODEL Y