米IC Insightsによると、パワートランジスタ市場の規模は2017年に前年比17%増となった後、2018年も同14%増と2桁成長を続け163億ドルとなり、市場最高値を更新。2019年も第1四半期は前年同期比10%増と好調を維持。下期にかけて成長が鈍化していく見通しながら、通年では同5%増の171億ドルと記録を更新する見込みであるという。

  • パワートランジスタ市場の推移

    パワートランジスタ市場の推移。2019年と2020年は予測 (出所:IC Insighs)

メモリバブルに沸いた過去2年、パワートランジスタ市場も大きく伸びたが、この背景には、需要の増加に対応できるだけの十分な生産ができずに価格が上昇したことがあげられる。2017年の出荷個数は前年比9%増、2018年も同8%増となり、過去最高となる628億個を記録。2019年も同6%増の667億個へと記録を更新するとIC Insightsでは予測している。

パワートランジスタメーカーも製造能力の増強を図ってきたが、この数年はそれを上回る勢いで需要が勝るという結果となっていた。しかし、ほとんどの種類のパワートランジスタの需給バランスは2019年下期には改善されると見られている。世界経済の停滞と、2020年初頭にかけての季節要因による減退が重なるほか、中国と米国の間で続く貿易戦争の行く末が悪影響となる可能性も考えられているためだ。

IC Insightsによると、2018年のパワートランジスタをセグメント別に見ると、はRF/マイクロ波パワートランジスタが前年比約1%の減少となった以外は市場規模を拡大させたという。もっとも大きな伸びを示したのは40~100V用パワーFETで同21%増、次いで絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が同20.3%増だという。また、市場の58%がFET(モジュールシステムで使用されているものを含む)で、32%がIGBT(モジュールおよびディスクリートトランジスタ)だという。

なお、IC Insightsでは、今後のパワートランジスタ市場について、5年程度は1桁台半ばあるいはそれ以下の成長率に落ち着くと予測している。そのため、パワートランジスタ市場の2018年から2023年までの年平均成長率を3.3%、2020年に限れば2%と見ており、その市場規模は2023年には192億ドルに達する見込みだとしている。