コニカミノルタと日本マイクロソフトは5月16日、コニカミノルタのデジタルトランスフォーメーション推進において、包括的な協業を進めると発表した。
コニカミノルタは、「課題提起型デジタルカンパニ-」を目指し、ワークスタイル変革やヘルスケア分野などにおけるデジタルトランスフォーメーションを支援する変革を進めており、日本マイクロソフトと包括的に協業することで、変革推進が可能になると判断したという。
両社は、今後、テクノロジー、人財育成、外販協業の3つの分野で連携する。
テクノロジーの部分ではAIや画像、IoTを組み合わせたインテリジェントソリューションの開発を行う。コニカミノルタのカメラやセンサーなどのエッジデバイスおよび画像解析アルゴリズムと、日本マイクロソフトのAzureベースのIoTや機械学習テクノロジを組み合わせ、新たなインテリジェントソリューションの開発を進める。さらに、コニカミノルタは、マイクロソフトの Office 365やDynamics 365とも連携した高付加価値サービスの提供も目指す。
現在、コニカミノルタでは、オフィス向け、介護分野、4つの分野でソリューションを検討中だという。
オフィス向けでは、コニカミノルタの統合プラットフォームである複合機「Workplace Hub」と、IPネットワークカメラ「Mobotix」、およびマイクロソフトの組織分析ソリューション「Workplace Analytics」を組み合わせることで、オフィスでの社員の働き方を可視化。
介護分野では介護施設や高齢者住居に設置したコニカミノルタのセンサーから、バイタルデータや画像データをAzureを活用し、収集・解析。施設の入所者様や利用者の状況を知るバイタルグラフ、介護スタッフヘルパーへのアラート、および他職種連携のための情報共有サービス機能を提供。このサービスは、自宅介護や病院にも提供するという。
製造業向けでは、コニカミノルタのAI・画像、IoT により、製造現場における「人×モノ×設備」を見える化・分析し、正確な製造コストの把握や予知保全を実現。可視化のプラットフォームには、マイクロソフトの Software as a Services(SaaS)型IoT ソリューションであるAzure IoT Centralの活用や、品質検査の自動化に両社のAI技術を提供する。
人財育成と外販協業
人財育成では、日本マイクロソフトへのインターンシップを受け入れる制度の導入(AI・IoT 人財交流)や、マイクロソフトのオンライン学習コースであるMicrosoft LearnやAzure 認定試験受講の支援、マイクロソフト米国本社でのスタートアップ企業との交流機会を活用する。
外販協業では、今後コニカミノルタが予定しているマイクロソフトのパブリッククラウドサービス(Azure、Microsoft 365、Dynamics 365)を活用した各業種向けソリューションについて、マイクロソフトの持つチャネルやパートナーエコシステムを活用しグローバル展開するという。
コニカミノルタ 常務執行役 市村 雄二氏は、今回の連携強化について、「われわれの目標は、社会課題に対応するデジタルカンパニーになることだ。最近はデータの利活用が重要といわれているが、その中で非構造データや人、モノの動きのデータ、動画などを取り込んで分析していくエッジの部分に注力していく。その結果として、付加価値や効率性を提供できる。また、働く人のクリエイティビティを上げていくことで、(われわれが提供するエッジIoTプラットフォームの)実装を促進できると考えている。マイクロソフトさんとの協業の中では、われわれは画像系や光学系の技術、デバイスによって、リアルタイムの世界をサイバーの持ち込む。また、分析技術を使って、付加価値を付けていく。クラウドの部分はマイクロソフトさんと組ませていただく」と述べた。
ITの世界では、5G/IoT時代の到来を見据えてエッジシフトが進んでいるが、この点関して、日本マイクロソフト 執行役員 最高技術責任者 兼 マイクロソフト ディベロップメント 代表取締役 社長 榊原彰氏は「マイクロソフトはこれまで、インテリジェントクラウドに投資してきたが、今後は、インテリジェントエッジにより、ネットワークの向こう側でも、こちら側でもインテリジェンスを提供していく。エッッジシフトが進んでいるが、技術がエッジにシフトしていくわけではない。クラウドもエッジも強化していく。リアルタイム性が要求されるものはエッジで、ハイパースケールなものはクラウドというように、用途に応じて使い分けていく」と語った。