京都市で8日から開かれていた「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」総会は最終日の12日、温室効果ガスの排出量をより正確に算定するための新しい指針(ガイドライン)内容で合意し、13日午前、総会会場で発表した。排出量の計算方法など最新の科学的知見を盛り込んでおり、排出量抑制対策のために重要な指針として従来のものより公平・公正なものになっている。
地球温暖化防止のためのパリ協定を守るために各国はIPCCの指針に沿って温室効果ガスの排出量を計算し、国連に報告している。パリ協定は先進国、発展途上国を問わず全ての国が排出削減に取り組むことを求めている。正確な排出量の把握は効果的な温暖化対策の実施に不可欠で、排出量削減実績を評価する際に各国間で不公平にならないよう、2006年にできた指針より正確な排出量の算定方法が求められていた。
総会事務局や会議関係者によると、新指針には、燃料電池などに使用される水素の製造に伴う温室効果ガス排出量の算定方法や、日本の温室効果ガス観測衛星「いぶき2号」も含めた人工衛星の活用などを新たに盛り込んだ。このほか、石炭や天然ガスといった化石燃料の採掘、輸送などの作業に伴って二酸化炭素が大気中に漏れる量を正確に推計する方法も見直した。排出量の計算が正しく、公平・公正に行われるよう、きめ細かな内容になったという。新指針は11月にチリで開かれる第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)で合意された後、正式に導入される。
IPCCは1988年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)が設立した政府間機関。約200カ国・地域が参加し、参加各国・地域の気候、気象、環境経済などの研究者や政府・行政担当者で構成されている。気候システムと気候変化について評価する「第1作業部会」、気候変動が生態系や社会・経済に及ぼす影響や適応策を評価する「第2作業部会」、温室効果ガスの排出抑制策など気候変化に対する対策を評価する「第3作業部会」がある。3部会とも定期的に評価報告書をまとめて公表、さらにこれらを統合した評価報告書も5~6年ごとに公表され、国際的な気候変動対策に大きな影響を与えている。
IPCC総会は今回で49回目。今月8日に京都市の国立京都国際会館で開会し、各国の代表者や研究者ら約360人が参加して議論し、12日閉幕した。日本で総会が開かれたのは2014年の横浜市以来2回目。
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