オプテージと大阪府茨木市は5月13日、AI(人工知能)利活用に関する「庁内職員向けAIチャットボット」の実証実験を開始した。期間は6月28日までを予定し、ディープラーニング(深層学習)の仕組みを用いたAIチャットボットの試行運用を行い、適切な担当部署へのスムーズな案内を支援し、市民の待ち時間削減や誤った部署への案内防止を図ることを目指す。
同市は2017年度に「次なる茨木のためのICTビジョン」を策定し、「デジタル・ガバメントによる行政サービス改革」「データ流通と利活用による超スマート社会の実現」「さらなるICT化による行政経営改革」「マネジメントの充実によるICT戦略のスパイラルアップ」の4つの視点によるイノベーションに取り組んでいる。
また、市民サービスの質的向上や業務の生産性向上および働き方改革を支援する、AIやRPAなどのICT活用の検討を進めている。
一方、オプテージは自治体や企業向けにICTガバナンス強化支援、戦略策定から推進・評価支援、情報セキュリティアドバイザーなど、ICTプロセス全般にわたる支援を行っている。その中で、AIやビッグデータなどの新技術を活用したソリューション開発を進めており、同市の取り組みと方向性が一致したため、AI利活用に関する実証実験を共同で実施することにした。
同実験は「スモール実施による投資の効率化」「客観的な効果の提示」「職員のAIに対するきっかけづくり」「次の展開につなげる礎づくり」を目的に進める。同社はこれまで自社で運用・蓄積してきたコンタクトセンターでのノウハウや自治体・企業に対するコンサルティングノウハウを生かし、同実験導入に関する全般的なコーディネート、ソリューションパッケージの開発および結果評価の支援を行う。
同実験で導入するAIチャットボットのプラットフォームには、エーアイスクエアの「QuickQA」を採用し、ディープラーニング型で少ない学習データでも言葉のゆらぎを吸収し、質問内容から適切な回答を推論するチャットボットとなっている。これは、キーワードのヒット率などで回答候補を提示するものとは異なるものだという。
同実験の終了後は結果評価を支援するとともに、ノウハウの蓄積による最適解の導出、感覚的な情報による特長の導出、将来予測など、多様なAIの活用分野における実験や、そのほか新技術による実験なども支援していく。