IDC Japanは5月13日、国内第3のプラットフォーム市場における2018年の分析及び2019年から2023年の市場予測を発表した。これによると、2018年の同市場の支出額ベースにおける規模は14兆8909億円となり、2017年比の成長率は4.1%だったという。また、同市場は2023年には19兆4817億円に達し、2018年から2023年にかけての年間平均成長率(CAGR)は5.5%と予測している。
同社は同市場を、消費者市場、企業市場、非企業市場(官公庁、自治体および教育)に分類。このうち消費者市場では、国内人口の減少を背景に同市場の大半を占めるモビリティ市場の拡大が見込めないことや、スマートフォン買い替え需要の低迷などにより、2018年から2023年のCAGRは0.6%とほぼ横ばいになるという。
特に2019年の消費増税および2020年の東京オリンピック/パラリンピック後の景況感低下により、予測期間前半の成長率は低くなり、予測期間の後半には予測期間前半の反動による成長を予測している。
企業市場では、クラウドサービスの利用進行やデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資など高い成長率で推移すると予測しており、CAGRは9.5%になると推測。非企業市場では堅調な成長を予測しているが、企業分野と比較するとDXの取り組みがやや遅れているほか、個人情報保護などの影響によるモビリティ/クラウド活用の遅れで、業務プロセスのデジタル変革や新しいテクノロジーの活用への積極性が弱いことから、CAGRは7.0%と予測する。
同社は第3のプラットフォーム市場全体のCAGRを5.5%と予測しているが、前回の予測よりも0.2ポイント下方修正した。これは、モビリティ市場の実績が前回予測よりも低く、2018年のIT市場全体の実績が予測よりも支出額が低かったためだという。
企業分野を中心に、第3のプラットフォームを活用したDXの取り組みは加速すると予測しており、第3のプラットフォーム技術をクロス活用し、新たなエコシステムを開拓する新事業開発、「働き方改革」の推進、データを活用した顧客エクスペリエンス(CX)向上などへの取り組みなどが、同市場の堅調な成長の背景にあると分析。
このため、2018年は下方修正したが、予測期間後半にあたる2021年から2023年は堅調な成長する見込みとなっている。産業分野別では、特に成長を予測される分野は組立製造、小売、専門的サービスとなり、これらの業種では顧客のDX変革に対応しないと競争力を失うことに加えて、現在の顧客を失うことになるため、危機感があると指摘している。
特に製造業や小売業では海外の競合他社がDXを進めており、グローバル競争力の維持/拡大を指向しているという。金融、通信、情報サービスにおいてもCAGRが9%を超えると予測。
各業種共に、AIシステム/センシング/拡張現実などの新たなテクノロジーを活用した、プラントのスマート化、コネクテッドサービス、ダイナミックプライシングや無人店舗などの増加などの市場投入が進むことで、堅調な成長を予測している。これらの新たなソリューションは単一のテクノロジーでは実現できず、複数のテクノロジーを巧みに組み合わせることによって達成可能になるという。
従業員規模別に見ると、従業員規模1000人以上の大企業のCAGRが10.7%と最も高く、次いで従業員規模500~999人の中堅企業が9.4%、従業員規模100~499人では8.5%の堅調な成長を予測している。
DXに対する投資体力、IT設計/導入/運用管理人材の課題、保有する顧客データや分析対象データの量などに依存して、大企業ほど成長率が高い結果となり、これらの動向から同市場の短期~中期的成長は中堅~大企業でのDX推進にあると想定している。
同社のグループディレクターである眞鍋敬氏は「DXは将来、社会システムの革新を実現する。ITサプライヤーは、DXによる社会システムの変化や社会からの要請の変化を考慮しながら顧客の進めるDXに対応し、ITソリューションの支援を行っていくべきである」と述べている。