韓SK Hynixは、ソウル近郊の京畿道利川(リセン)市にある同社本社ならびにDRAM工場群に隣接するHyundai Elevator(HELCO)の本社・工場・社員寮敷地を購入することを決定したと複数の勧告メディアが報じている。

HELCOは韓国最大のエレベータメーカーで、事業拡大を目指し、IoT対応の最新設備を整えた忠州市の新興工業団地へ移転することを決定。一方のSK Hynixは本社工場敷地内に次々とDRAM工場を建ててきたが、すでに利用可能な敷地がなく、同市内で新たな工場用地の取得を目指していたものの、法規制の問題などから、龍仁市で半導体工場群新設を決めていた。

そのため、同市での最後の工場については、これまでは2018年12月19日に本社工場敷地内に起工したメモリ製造棟「M16」(床面積5万3000m2)とされていたが、今回、新たに隣接地を入手できれば、新工場の建設を行う可能性がでてきた。しかし、現時点では、隣接地の用途は未定とされており、韓国の業界関係者の間でも、すでに龍仁への進出を決めていることから、メモリ工場を新たに建てる可能性は低いと見ている向きがあるが、その一方で、今回の隣接地入手を機に、計画の全体を見直す可能性もあるとの見方も出てきている。

SK Hynixは利川にDRAM工場群、本社機能のほかに研究開発機能も集約させていることから、工場の建設を行わないにしろ、隣接地が将来に向けた半導体事業の拡張を目指した形で活用されることは間違いないだろう。

なお、SK Hynixはもともとは現代電子産業という名称の企業で、現代グループ企業の1社であったこともあり、Hyundai Elevatorとの話し合いもすぐにまとまったようである。

SK Hynixは、2017~2018年の約2年間続いたメモリバブルの際に、Samsungに少しでも追い着こうと、生産調整で利益最優先のSamsungを尻目にメモリの増産を推進。その後のメモリバブル崩壊によって、現在、急激な業績悪化に伴い在庫水準が高まって状態にあるため、当面の設備投資を抑制し生産調整を行っている状態ではあるが、そのような状態でも、今回の敷地購入をはじめとした、将来に向けた投資については積極的に進めているようである。