市場動向調査会社である英IHS Markitは、2019年の半導体市場について2018年12月段階では、前年比2.9%増との予測をしていたが、この数ヶ月の市場の減速感を踏まえ、5月7日に前年比7.4%減の4462億ドル(2018年は4820億ドル)へとマイナス成長に陥るとの予測に修正した。
同社に限らず、ほとんどの半導体市場調査会社や世界半導体市場統計(WSTS)が、2018年秋もしくは年末時点での2019年の市場予測を前年比プラス数%程度と見積もっていたが、ここに来て、次々とマイナス成長へと下方修正を行っている。
IHSの調査マネージャーであるMyson Robles Bruce氏は、「2018年に半導体市場は前年比15%増を記録したこともあり、多くの半導体サプライヤが2019年初頭の段階で、2018年年ほどではないにせよ1桁台程度のプラス成長になるのでは、といった楽観的な見方を示していた。しかし、年頭から現在に至る市場減速の余りのひどさを目のあたりにして大きな不安を抱くに至っている。我々の最新の調査データによると、半導体産業は成長率という観点で見れば2010年代で最悪の年を迎えようとしている」と述べている。
この市場減速の最大の要因は半導体の需要が日増しに軟化して、在庫水準が急速に高まったことにある。特にDRAM、NAND、MPU、32ビットマイコン、アナログASICなどが大きな影響を受けており、これらの製品カテゴリは2019年第1四半期に、前年同期比で2桁のマイナス成長となっている。
中でもDRAMの価格下落と需要低迷、NANDの過剰在庫と価格下落、ASSPのスマートフォン市場の不調、という状況は長期化の様相を見せており、半導体市場全体も厳しい状況が続く結果となっている。そのためIHSでも第2四半期も苦しい時期となると見ており、2019年通年の成長率についても、こうした上期の影響から、2009年以来、最悪のものになるとしている一方で、市場環境そのものは第3四半期より好転するとしている。特に、NANDがSSDやハイエンドスマートフォンなどを中心に需要が回復するほか、MPUもノートPCやサーバを中心に伸び、市場全体の回復に寄与するとしている。