2019年第1四半期のIC市場は、前四半期期比17.6%減と大きく減速したが、この下落率は1984年第1四半期に統計を開始して以降、4番目に大きな下落率となったと米IC Insightsが発表した。

同社が統計を開始した1984年の第1四半期から2019年代1四半期までの141四半期中、前四半期比で10%以上の下落率を記録したのは7回のみで、もっとも大きい下落率は2001年第1四半期で、2019年第1四半期は4番目の下落率。第1四半期の括ってみると、3番目に大きな下落率になるという。

  • 四半期別IC市場の下落率ランキング

    四半期別IC市場の前四半期比下落率が10%を超えた7つの時期(対象は1984年第1四半期~2019年第1四半期の141四半期)の下落率の大きな順のランキング。Fcstは予測値 (出所:IC Insights、WSTSデータに基づく)

これまでの記録では、四半期別でIC市場の前四半期比下落率が2桁となったことのある年は、通年のIC市場も少なくとも9%以上のマイナス成長を記録したという。興味深いのは、この四半期別下落率トップ7のうち3つが2001年で、いわゆるITバブル崩壊直後の半導体不況で占められている点である。この年、IC市場は通年でも前年比33%減という、業界の歴史上最悪の実績を残しており、この影響もあり、その後、多くの日本の半導体メーカーが苦境に立たされることとなった。

ちなみに第1四半期だけを見ると、過去36年間で前四半期比で平均2.1%減とマイナス成長となる傾向が強い。これは、同四半期が季節的な閑散期にあたるためで、IC市場にとって年間でもっともビジネスが低迷しがちな時期であるといえる。2019年の第1四半期もIC市場の下落率が同17.6%減という深刻な減速となっており、IC市場の典型的な季節要因を考えると、2019年が通年の成長率として9%減よりも低い値を実現するためには、下半期に異常ともいえるほどの急回復が必要となるだろう。