モノとネットワークが繋がることによって、新たな価値を創出するIoT。先日開催された「第28回 Japan IT Week春 前期」でも、各ブースではIoTに関する様々なデバイスやソリューションが展示され、新たなビジネス創出のヒントが提案されていた。本稿では、"5G"の名称でお馴染みの次世代通信を利活用した展示や、ヘッドマウントディスプレイを用いずに臨場感あふれる映像を複数人数で体験することができるドーム型VRスペースなどが多くの来場者の注目を集めていたKDDIブースの様子をレポートしていこう。
KDDIブースでは、モバイルデバイスによる12K高画質VRを体験することができるコーナーや前述した複数人数でVR体験を共有できるドーム型VRスペース、そして、"KDDI Interactive Display"と名付けられた未来を先取りしたディスプレイなど、実際に体験することができる製品が数多く出展されていた。
なかでも、5G時代の世界観を体験することができる遠隔手術のデモンストレーションは多くの来場者の視線を集めていた。5G/4Gエミュレータを使用し、次世代通信5Gが既存ネットワークの4Gと比較してどれだけ通信遅延が少なくなるかを、触覚フィードバックデバイスを用いた医療シミュレータで体験することができた。ゆくゆくは、遠隔地からでも技術指導や診察、施術を行うことも可能になるのではと可能性を見せてくれていた。
デモは、ペン器具のような触覚デバイスを通して、5Gではリアルタイムに触感が伝わってきて直感的に触覚デバイスを操作できることに対し、4Gでは遅延の影響で操作が困難になることがよくわかる内容となっていた。その差は誰が体験しても明らかなほどだった。なお、5G/4Gエミュレータは、5G実証実験などで実測した通信品質を再現する環境を提供するものであり、今回のデモのように5Gの世界観を伝える以外に5Gアプリケーション開発の際にフィールド試験コストを削減する使い方をしているという。
IoTに関するソリューションの提案では、工場の生産設備の状況を可視化し分析モデルによる故障予兆検知などを実現するパッケージや、作業員が装着したウェアラブルデバイスによってその状態を作業管理者へ通知し安全管理に貢献するパッケージなど、具体的な利用シーンを示した展示が注目を集めていた。ほかにも、ドローンと5Gを用いて鮮明な映像をビジネスに利活用したい企業向けに提供するパッケージも紹介されていた。
そして、筆者の目にとまったのが、5G時代の新たなショッピングを体感できた無人レジのコーナーだ。高速通信、画像解析技術を利活用し、レジ台に商品を置くだけでお買い物の合計額がはじき出される様は、身近なものだけにその効果がより伝わる。業務や職場といったシーンでもスピード向上は大きな威力を発揮しそうだ。
次世代通信5GとIoTの組み合わせによる、新しい社会の実現。KDDIは、通信インフラという強みを活かし、"今使えるIoTソリューション"はもちろん"5Gで拓ける未来"を感じさせてくれていた。今後どのような提案を行ってくれるのか、その動向から目が離せそうにない。