NECは4月24日、新ブランド「NEC Smart Connectivity」の下、ネットワーク技術における強みを生かし、新たな領域におけるサービス事業を提供すると発表した。
デジタルサービスソリューション事業部長を務める佐藤崇氏は、今後、ネットワークにつながる人とモノが増えるとともに新たなサービスが生まれることが予想されるが、その実現にあたってはネットワーク不可欠であると説明した。
同社は2017年に発表した中期計画2020において、テレコム事業におけるネットワークの強みを他の領域に展開することを掲げており、今回それを具現化する格好となる。
今後、5G、LTE、LPWAといった新たなネットワークの技術の利用拡大が見込まれる。佐藤氏は、そうした中、ネットワークには「カスタムメイドのネットワーク」「簡単に使えるさまざまなネットワーク」「もっと簡単なデータ活用」が求められるとして、「NEC Smart Connectivity」というブランドにより、同社がこうしたニーズに応えていくと語った。
「NEC Smart Connectivity」においては、「(ネットワークを)柔軟に、安心に」「(ネットワークを)簡単に、迅速に」「必要な人・モノに、必要な情報を」という価値を提供するという戦略の下、ソリューションを提供していく。
「柔軟に、安心に」という価値としては、インフラ業者や自治体に対し、大規模にも対応する柔軟かつ安心なカスタムメイドのコネクティビティを提供する。例を挙げると、全国に張り巡らされた交通通信網に対し、専用の大規模かつセキュアな無線ネットワークなどの提供などがある。
「人とモノが大量につながるようになると、これまでのネットワークでは解決できない課題が出てくる。こうした課題を解決するには今までの常識を変える必要があり、われわれはその解決策として、カスタムメイドのコネクティビティを提供する」と、佐藤氏は「カスタムメイドのネットワークの必要性をアピールした。
「簡単に、迅速に」という価値としては、用途に応じて有線・LPWA・LTE・5Gなどから最適なものを選び組み合わせて、マルチコネクティビティとして通信サービスを提供する。コンサルから、導入、運用までをトータルでサービスが提供できることをウリとする。
佐藤氏は「現在、ネットワークの設定、機能のデリバリー、運用に時間がかかっている。われわれが提供するマルチコネクティビティのサービスであれば、メニューから利用したい機能を好きな時に選ぶことができ、リードタイムを短縮できる。利用料金もこれまでと違って、月額形態となり、購入しやすい価格帯を設定できる」と、マルチコネクティビティの通信サービスの優位性を説明した。
「必要な人・モノに、必要な情報を」という価値としては、大量のデータの中から必要なデータを抽出するコネクティビティを提供する。具体的には、流通や金融事業者などに対し、生体認証・ID連携・データ連携・ブロックチェーンといった技術を組み合わせたサービス基盤を提供し、必要な人・モノに必要な情報を届けるデータ流通を促進する。
こうした事業を推進するにあたり、社内の企業・自治体向けネットワーク要員と通信事業者向けネットワーク要員を集約し、「NEC Smart Connectivity」事業要員として500名体制に整備する。加えて、NECネッツエスアイやNECフィールディングなどのグループ会社との連携も深め、サービスを提供する。
さらに、共創への取り組みを強化するため、顧客にサービスを実感してもらい、アイデアを共創してソリューションを試作する空間として、2019年夏にNEC玉川事業場内に「NEC Smart Connectivity Lab」を開設する予定。2018年からさまざまな業種の企業と取り組んでいるサービス共創の場「5G Co-Creation Working」も活用する。
こうしたサービスを提供するとともに施策を実行することで、同社は「NEC Smart Connectivity」関連事業で2021年度に売上高1000億円を目指す。