台湾TrendForceの半導体メモリ市場調査部門であるDRAMeXchangeは、「ビジネスサイクルが下降局面にあり、世界的に将来が不確実なため、2019年のサーバ市場における出荷額成長率は増加するものの、前年比3.9%増に留まる」との予測ならびに、5Gという追い風を受け、サーバ需要そのものは徐々に増加傾向にあるため、2020年に需要のピークを迎える可能性があるとの見通しを発表した。

DRAMeXchangeのシニアアナリストであるMark Liu氏は、「2018年のサーバ市場を分析すると、その成長の原動力となったのは、市場シェア30%以上を占める北米ブランドの製品がもたらしたものである。カテゴリ別では、エンタープライズ向けサーバが依然として最大の出荷額を占めているが、インターネットデータセンター向けの出荷額における比率が年々増加傾向にあり、2019年は前年比5ポイント増の40%に達すると予想される。ビジネスに変革をもたらす5Gの登場によって電気通信業者やインターネット・プロバイダからのサーバ需要が増加すことで、出荷台数は2020年にピークを迎える見込みである」と述べている。

2019年第1四半期(1~3月期)の市況は、季節的な閑散期ながら、その影響をあまり受けなかったため、サーバ出荷額は安定した成長を続けた模様だ。ODM(製品の設計から製品開発・製造までを委託する形態)直接取引の出荷額は、前四半期比で1.3%増となっており、第2四半期も受注増が持続するため、ODMのシェアは同1%〜3%程度の増加が見られ、市場シェアは最高で26.6%にまで達する可能性があるとDRAMeXchangeは見ている。

  • サーバ市場における用途別シェア

    図1 2019年(左)および2020年(右)のサーバ市場における用途別シェア (出所:DRAMeXchange)

グローバルの動向だが、中国のクラウドサービスプロバイダ各社によるサーバ購入額は前年比で約15%減少する一方で、北米企業はそれほど景気の影響を受けずに、購入額は前年比で5%~10%増加すると予測される。また、中Bytedanceや米NetAppなどのセカンドティアにおけるサーバ購入については、海外での事業開発と自ら建設するデータセンターが需要を牽引することから、前年比で40%以上増加するものとDRAMeXchangeは予測している。

  • サーバブランドランキング

    世界の5大サーバブランドにおける2019年第1四半期市場シェア (出所:DRAMeXchange)

なお、PC市場が成熟する中、半導体メモリやCPUの売り上げはサーバ市場からの需要に大きく影響されるようになってきており、今後のサーバ、とりわけインターネットデータセンタ向けサーバの需要動向が注目される。