市場動向調査会社である台TrendForceは4月16日、2019年の世界の自動車市場における販売台数は2018年比で0.8%減の9440万台に留まるとの予測結果を公開した。2018年も前年比で販売台数は減少しており、2年連続のマイナス成長となる見込み。ただし、電気自動車(EV)にのみ限れば、前年比28%増の515万台に達すると、市場拡大が期待されるとしている(同社のいうEVはフルEVのほか、燃料電池車(FCV)、プラグイン・ハイブリッド車(PHV)、ハイブリッドEV(HEV)などを含む)。
TrendForceのアナリストであるCaroline Chen氏は、「2018年の自動車市場は米中貿易紛争の影響を受けて、中国と米国製の自動車販売台数が5つの主要地域市場で継続的に減少した。また、西ヨーロッパと日本は堅調に推移し、わずかな低下に留まったほか、インドは依然として力強い経済成長の波に乗り続け、プラス成長が続いている」と述べている。
Chen氏によると、米中政府は継続して交渉を行っており、双方とも厳しい関税を一時的に凍結することを宣言する動きなども見せている。しかし、大国同士の貿易紛争が長引くほど、2019年の自動車市場への影響は拡大を続け、その影響の範囲も広がることが懸念される。自動車販売と国の経済とは密接な関係にあり、将来の雇用、給与の伸び、経済の先行きそのものについて消費者が悲観的な見方をするようになれば、新車購入や買い替えの検討を先送りするなどの動きが活発化するという。
EVの普及率は2019年の5.5%から2023年には15%に
世界中の自動車メーカー各社ともに、世界的な持続的な成長に向けた省エネルギー化や排ガス規制といった各国の規制強化に向け、EVの開発を積極的に進めている。
特に多くの自動車メーカーが戦略的な視点から、EVをまったく新しい製品ブランドとして提示することに注力しており、その開発も、電池サプライヤの生産能力の拡大などに伴う価格の下落、電池生産の現地化などの後押しを受けて加速している。
Chen氏は、「今年は、各国政府の政策がEV開発に大きな影響を与える」と見ている。中国と米国はどちらもEVの自由市場競争を推進することを望んでおり、補助金の削減を始めている一方で、充電ステーションが配置される規模やスピード、グリッド負荷と電力安定性などの改善を求めている。こうした動きをかんがみる形でTrendForceでは、EVの普及率について、グローバルで2019年に5.5%、2023年には13%〜15%まで上昇すると予測している。