優れた女性科学者に毎年贈られる今年の「猿橋賞」は、ハーフメタルと呼ばれる特殊な金属の分析などで成果を挙げた東北大学金属材料研究所の梅津理恵(うめつ りえ)准教授が受賞することが決まった。同賞を主催する一般財団法人「女性科学者に明るい未来をの会」(石田瑞穂会長)が15日発表した。猿橋賞は今年で39回目。贈呈式は5月25日に東京都内で開かれる。
梅津さんの授賞理由は「ハーフメタルをはじめとするホイスラー型機能性磁気材料の物性研究」。 ハーフメタルは金属と半導体の性質を併せ持つことで知られ、高性能のハードディスクなど幅広い分野への応用が期待されている。梅津さんの専門は金属磁性、固体物性。兵庫県にある大型放射光施設「スプリング8」の放射光を使い、ハーフメタルに特徴的な電子の状態を観測。ハーフメタルの電子状態観測に放射光が有用であることを示した。また、マンガンやコバルトなどの金属元素を組み合わせた「機能性金属磁性材料」を研究し、同材料に分類されるハーフメタルの単結晶を作製した。
東北大学金属材料研究所によると、梅津さんは仙台市出身。奈良女子大学理学部物理科を卒業し、東北大学大学院工学研究科で博士号を取得。東北大学金属材料研究所助教を経て現職。
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