ロームは、4月17日~19日にかけて、千葉県・幕張メッセにて開催されているものづくりエンジニアのための展示会「TECHNO-FRONTIER 2019(テクノフロンティア2019)」において、4月12日に発表したばかりの1700V SiC MOS内蔵AC/DCコンバータIC「BM2SCQ12xT-LBZ」の紹介などを行っている。
BM2SCQ12xT-LBZは、従来12個の部品(AC/DCコンバータ制御IC、800V耐圧Si MOSFET×2、ツェナーダイオード×3、抵抗器×6)と放熱板で構成されていた従来ソリューションをSiC MOSFETと産業機器の補機電源用に最適化された制御回路を1パッケージ化したことで、代替することを可能としたもの。また、SiC MOSFETの特徴である高耐圧かつ高電圧ノイズ耐性により、ノイズ対策部品の小型化も可能になるという。
また、同社のSiC製品のコーナーでは、1700V フルSiCパワーモジュール「BSM250D17P2E004」の紹介や、研究開発品となるSiCデバイス搭載3相30kW双方向インバータの展示も行われている。
ステッピングモーターをBLDCモーターで代替
このほか、同社ブースでは開発中の三相ブラシレス プリドライバ「BD63700MUV」を用いたデモも披露されている。同製品は位置フィードバック制御機構などを内蔵することで、ステッピングモーター並みの精度でブラシレスDC(BLDC)モーターの回転を制御することを可能とするもの。ステッピングモーターをDCブラシレスモーターに変更するメリットとしては、静音性や低消費電力といった面に加え、入力信号の周波数が高くなるとステッピングモーターでは脱調が起こりやすいがDCブラシレスは高速追従性が高いため、そうした問題が起きないという面もある。
デモでは同じパルスでステッピングモーターとDCブラシレスモーターを駆動させて、遜色のない様子などを見ることができるほか、入力信号の周波数を高めていき、DCブラシレスモーターとステッピングモーターの追従性の違いを見る、といったことも可能となっていた。なお、同製品は2019年中のサンプル出荷開始を目標としているという。
このほかセンサーソリューションのコーナーではCEATEC JAPAN 2018にて披露した「地震検知センサモジュール」の進化系デモのほか、開発中の製品として各種センサ向け赤外高出力VCSEL(IR VCSEL)のデモも披露している。
IR VCSELはこの数年で一気に注目度を高めてきたアプリケーション。すでにOSRAMが買収したVixarのVCSEL技術を活用したIR VCSELを2018年に発表するなど、グローバルで動きが活発化してきており、ロームもそうした動きに追従する形で開発を進めてきており、用途に応じて200mW~最大2Wまでラインアップする予定だという。主な用途としてはスマートフォンなどの顔認証や3Dスキャナ、ドローンに搭載して測距センサとしての活用などが想定されるとしており、同社では2019年中に製品化したいとしている。