経済産業省は4月15日、4月5日に日本マイクロソフトと共同で開催した改元に伴う情報システムに関する対応に関する説明会の資料を公開した。同資料では、マイクロソフト製品において、改元への対応をすべき内容、対応のスケジュール、実施すべき準備などを紹介している。
そこで、この資料をもとに、マイクロソフト製品における改元への対応の注意点をまとめてみた。
新元号への対応が必要となる項目
マイクロソフト製品において、新元号への対応が必要な可能性がある項目としては、「日付フォーマット変換」「」符号位置」「照合順序」「正規化」「フォント」「共通実装」がある。
同社は新元号対応においてサポートする文字コードについて、独自対応は行わず、「ユニコードのみ、シフトJIS(ISO-10646、拡張文字を含む)は対象外」としている。
なお、元号が変わることにより、文字を追加する必要があるが、外部に依存したコンポーネントがあり、マイクロソフトだけで作業を完了できないため、スケジュールを確約できないとしている。
フォントについては、すべてのバージョンを更新する。
新元号対応の作業の流れとは?
マイクロソフトは、新元号対応に必要な作業の流れとして、「テスト環境の構築」「アプリケーションの動作テスト」「運用環境の更新」を挙げている。同社製品における新元号対応は、毎月の更新プログラムのリリースに含まれた形で提供される。
マイクロソフトは新元号への対応の基本方針として、2019年5月1日時点で延長サポートを終了していない製品であることを掲げており、最新の状態に対して実施する。したがって、各製品において更新プログラムを適用しておかなければならない。
既に、Windowsは更新プログラムによって、「和暦がハードコードされたモジュールを修正しレジストリで管理」「日付フォーマット変更」「元年表記も選択できるよう変更」といった対応が行われている。Officeについては、日付挿入機能や日付計算機能などの新元号対応が行われている。.NET Frameworkにおいては、「.NET Framework 3.5 でも元号情報をレジストリから取得し新元号に対応できるよう変更」「平成 32 年等の許容可否をデフォルトでは Windows レジストリで判断するよう変更」「元年表記も選択できるよう変更」といった対応が行われている。
なお、Windows、Microsoft Office、.NET Frameworkは相互に依存関係があることから、同社はすべてを最新の状態にするよう呼びかけている。
加えて、新元号対応を含む更新プログラムでは、一部のAPI仕様が変更されるため、アプリケーションのテストを行う必要がある。
更新プログラムの注意点
4月10日に提供された月例の更新プログラムには、新元号の発表を受けて開発を開始した要素(フォント、自署、レジストリ定義など)は含まれていない。新元号対応に関する要素を含む更新プログラムは4月中の提供を目途に開発が進められており、同社の発表に注目しておきたい。
先に「新元号対応は最新の状態の製品に実施される」と述べたが、Windows 10はサービス期間が終了したバージョンは更新が適用できないため、機能アップデートによって、サービス期間内のバージョンにする必要がある。
Officeの更新の提供方法は、Officeが更新を取得するクイック実行形式とWindows Updateを用いるWindowsインストーラ形式がある。前者には後者用の更新プログラムは適用できないので、注意されたい。また、Windowsインストーラ形式の更新プログラムについては、Office 20120 SP2とOffice 2013 SP1を適用済みが前提条件となる。また、WindowsのレジストリとAPIに依存するため、OSの更新プログラムの適用も必須となる。
なお、更新プログラムを適用せず、レジストリを手動で追加するだけでは新元号対応は完了せず、アプリケーションがクラッシュするおそれもあるという。