富士通と生物調査などの事業を手掛ける沿海調査エンジニアリングは4月16日、IoTを活用したウニ・ナマコの陸上養殖の実証実験を北海道古宇郡神恵内村において、同月から本格的に開始したと発表した。実証の期間は2020年3月まで。
神恵内村では、インバウンドや中国への海外輸出などを背景に、主要特産物のウニ・ナマコの需要が高まっており、年間を通じて安定的な供給を実現するため、天然資源の漁獲に加え、養殖事業も強化しているが、漁業や養殖業の担い手不足や高齢化の影響などにより、ウニ・ナマコの総漁獲量低下が課題となっているという。
そこで、3者は神恵内村内の地域栽培養殖推進施設において水量2トンの試験水槽を利用し、、IoTを活用した高品質なウニ・ナマコの効率的な陸上養殖手法の開発とウニ・ナマコの陸上養殖におけるIoTを活用した環境制御ノウハウの蓄積を目的に実証実験を実施する。
実証実験では養殖するウニ・ナマコの種類や養殖水槽に入れた日付、個体数などのデータを飼育者がPCやスマートフォンなどのモバイル端末から養殖管理システム上に登録。養殖水槽に入れた日付ごとにロット管理を行い、給餌や出荷などの作業情報を入力することでデータを蓄積、可視化。トレーサビリティ情報としても活用する。
また、各種センサやカメラと養殖管理システムを連携させることで、海水の温度や濁度、塩分濃度などの値や養殖場のウニ・ナマコの映像を飼育者がPCやスマートフォンなどのモバイル端末からリアルタイムに確認し、センサの収集値が設定した閾値を超えた際に、飼育者へメールおよび養殖管理システムの画面でアラート通知。
今後、実証成果を踏まえ、神恵内村は重要な産業振興資源であるウニ・ナマコの養殖事業拡大を目指し、IoTを活用した陸上養殖の推進を検討するほか、沿海調査エンジニアリングと富士通はウニ・ナマコのIoTを活用した効率的な陸上養殖手法を検証し、神恵内村の養殖事業振興を支援していく。また、効率的な養殖事業の確立に向けて、収集したデータ分析へのAI活用などの機能強化も検討していく考えだ。