IDC Japanは4月15日、通信事業者が法人向けに提供するWAN(Wide-Area Network、広域ネットワーク)サービスの国内市場シェアと市場予測を発表した。これによると、2018年の国内WANサービス市場は、2017年と比べた成長率が6.6%、市場規模が5954億円となった。
企業の拠点間などを接続するWANサービスは、すでに多くの企業に普及しているが、クラウドサービスへの新たな接続需要の急増などによって市場は拡大したという。同市場は、大手5社で市場の8割以上のシェアを占める寡占市場だが、WANサービスのコモディティ化とともに通信事業者間の競争は激しくなっているという。
同市場で28.7%と最大のシェアを持つNTTコミュニケーションズは、先進技術への積極的な取り組み、グローバルビジネスの積極展開、WANサービスとマネージドサービス、セキュリティサービスなどのワンストップ提供などによる差別化を図ることで市場シェアトップを維持している。
次いでKDDI(市場シェア18.0%)、ソフトバンク(同14.9%)が積極攻勢で追い上げているほか、NTT西日本(同12.2%)とNTT東日本(同10.4%)は、地域市場で高い信頼を獲得している。
今後、企業WANはクラウドの利用拡大やデジタル変革への取り組みにより複雑化し、ニーズが多様化していくと予測していることに加え、SD-WAN(Software Defined-Network)などのネットワーク仮想化技術や5Gが企業WANに新しいアーキテクチャをもたらすという。
同社コミュニケーションズ リサーチマネージャーの小野陽子氏は「通信事業者が今後、国内WANサービス市場でシェアを拡大するには、単純な回線販売から、SD-WANや5Gなどの新技術を活用し、企業の多様なニーズに対応可能なソリューション型のWANサービスを提供していく必要がある」と述べている。