米Alteryxの日本法人であるアルテリックス・ジャパンは4月15日、都内で記者会見を開き、東京にオフィスを開設したと発表した。新オフィスの開設により、日本国内の顧客企業をサポートするほか、アジア太平洋市場において高まるエンドツーエンド分析、データサイエンスプラットフォームの需要に対応するという。
同社は、セルフサービスデータ分析ソリューション「Alteryx」を提供しており、2017年にニューヨーク証券取引所に上場し、77カ国において5000社、日本では100社以上の顧客を抱えている。2018年にシンガポールにアジア太平洋本社を開設し、今回、APAC地域における戦略の一環として東京オフィスを開設した。現在、従業員は10人だが、来年には25人に増員を予定している。
米Alteryx プレジデント&チーフ・レベニュー・オフィサーのスコット・ジョーンズ氏は「デジタル化を通じて改革の時代を迎えており、デジタルトランスフォーメーションの中心にあるものはデータにほかならない」と強調する。
企業のDXにおける高い期待値に対応し、さまざまなカスタマイズを可能にするためには顧客に対する深い知識が必要であり、このような状況においてデータを強化するとともに、高度な分析をドライブしていくことが同社の真髄だという。同社では分析のセルフサービス化により、エンドツーエンドでカバーすることを可能としている。
一方で、ジョーンズ氏は「DXを進める上でデータアナリティクスとデータサイエンスは主要な2つの要素であり、大半の企業では膨大なデータを活用することが課題となっている。ガートナーの調査によると、日本企業の78%はDXの初期段階すら終了していない。そのため、破壊的な変化を指向し、意識を変え、柔軟性とアジリティを求めること必要である」との認識を示す。
そして、企業内でアナリティクスを強化していくためには3つの要素があるという。1つ目はデジタルの意識を持ち、古いものから新しいやりかたに変えること、2つ目は人材育成、社内の人材活用、3つ目はデータとアナリティクスのプロセス、これらに関する人材を業務に近づけていくことだという。
ジョーンズ氏は「成功した企業は、アナリティクスのプロセスを業務に近づけており、データのガバナンス、セキュリティにフォーカスしている企業だ。データサイエンスの需要は大きく、AIや機械学習ベースの製品に支えられているが人材不足は深刻であり、われわれは簡単なアナリティクスサービス、ワークフローとプラットフォームのマネジメントを通じて貢献できる」と胸を張っていた。
続いて登壇した米Alteryx 製品管理シニアディレクターのジョシュ・ハワード氏は、同社製品について説明した。まず、同氏は「データに基づいた意思決定ができるようにアナリティクスそのものの、セルフサービスの需要が高まっており、データからインサイトまで簡単に移行できる方法が必要となる」と指摘する。
同社のセルフサービスデータ分析ソリューションは「Alteryx Desiner」「Alteryx Server」とAlteryx Serverのアドオン機能として「Alteryx Connect」「Alteryx Promote」で構成。
Desinerは、ワークフローを作成し、データの取得・加工・集約から高度な分析までをワンストップで実施することができる。Serverは企業が持つ大量のデータやDesinerで作成したワークフローを共有することで、ビジネスクリティカルな問題点を早期に発見することを可能としている。
Connectは組織内に存在している情報をまとめたデータカタログを作成し、データの検索、用語の定義、分析者とデータ管理者のコミュニケーション機能を提供し、組織内でデータ検索に費やす時間を最小限に抑える。Promoteは予測モデルとリアルタイム決定APIの開発・導入・管理のためのエンドツー度のデータサイエンスシステムを提供し、予測モデルを迅速かつ信頼性を担保した上で構築・管理・展開することができるという。
データ技術に対する知見がないものの、多くのデータソースにアクセスし人事、予算、ファイナンシャルのレポート作成を行う担当者やマーケティング担当者などは、オンプレミス、クラウド問わず、どこからでもデータにアクセスを可能とし、データを素早く準備・ブレンドした上で実用的なインサイトを作成し、視覚的に分析を共有することができるという。
また、SQLなどを必要としないコードフリーでのモデル構築や分析のプロセスに直接コードを統合し、モデルの透明性とその過程に沿ったガイダンスができる。モデルの実行状況をモニタリングして反復し、予測の成功・失敗・待ち時間を記録するため、データサイエンティストのスキルがなくとも、これらのプロセスを可能としている。
ハワード氏は「われわれは、データとアナリティクスをエンドツーエンドでカバーしたソリューションを持ち、データサイエンティストからビジネスアナリストに至るまでをカバーしている。ITの障壁をなくし、アナリストに力を与えるとともに市民データサイエンティストを育成し、データサイエンスとビジネス間のギャップを埋めることが可能だ」と、述べた。
アルテリックス・ジャパン 統括代表の吉村良氏は「ローカリゼーションに注力し、データサイエンスの課題を支援している。また、ユーザーコミュニティは強固なものであり、ユーザーがなにか課題がある際は、どのようなツールを結びつけて解決できるのか、われわれだけでなく、他ユーザーから解決法を示してくれる。日本語のコミュニティも充実しており、情報、課題の共有だけでなく、インタラクティブレッスン、ライブトレーニング、ウィークリーチャレンジ、認定資格プログラムを用意している」とアピールしていた。