デルおよびEMCジャパンは4月12日、コンバージドインフラ(CI)/ハイパーコンバージド インフラ(HCI)に関する技術説明会を実施した。同社では、すべてサーバベースでイーサネット接続しているものをHCI、SANをネットワークとして利用しているものをCIと呼んでいるという。
この説明会の中で、EMCジャパン モダンデータセンター事業本部 GTMエンタープライズ シニアシステムエンジニア/HCIスペシャリスト 高橋岳氏は、「CI、HCIはデータセンターをモダナイズする最速でもっともシンプルな方法」と指摘。そして同氏は、モダンデータセンターの重要要素として、スピードトパフォーマンスを維持するためのオールフラッシュ、柔軟なIT基盤を実現するスケールアウト、機能追加や安定性をソフトウェアで管理できるSoftware Defined、クラウド対応、セキュアな環境、AI/機械学習を挙げた。
同社のHCIのポートフォリオとして、VMwareのハイパーバイザーであるvSphereとSoftware Defined Storage(SDS)であるVSANを利用した製品群と、vSphere以外のハイパーバイザーも利用でき、SDSとしてVxFlex(旧ScaleIO)を利用した製品群、およびHyper-V+S2DやNutanixを利用したアライアンスエコシステムの製品群がある。同社が注力するのは前者の2つだ。
VMwareの製品を使ったHCIの中では、VMwareと共同開発したVxRailが主力だ。
高橋氏は「この製品を使えば、ハイパブリッド環境にも問題なく対応できる。プラットフォームと言ってもいい製品」と説明した。
VxRailの特徴
高橋氏はVxRailの特徴として、vSphereとVSANの最新のバージョンを利用できる点、Dell Networking OS10 EnterPrise Edition環境のスイッチであれば、vCenterのプラグイン化によって、VxRailのインストールの際にスイッチの環境設定も同時に行える点、vMotionで仮想環境を移行した場合、スイッチの設定も自動で移行できる点、vSANのライセンスをハードウェアに紐づけることなく、必要な分だけ自由に選択できる点、NVIDIAのGPUカードサポートなどがある点を挙げた。さらに、ライフサイクルマネージメントの拡張によって、VSANやvSphereのアップデートだけでなく、ファームウェアの更新も1クリックでできる点もメリットだとした。
このようにVxRailでは、管理をすべてvCenter側で行え、VxRailとvCenterの透過的な運用ができる点が特徴だという。
高橋氏によれば、HCIは初期の頃はVDI専用だったが、最近は仮想環境のさまざまな用途で使われ、基幹業務の混在環境、開発環境、IaaS/PaaS、ビッグデータ解析などでも利用されているという。
そして同氏は、VxRailはVSANがvSphereカーネルにインテグレーションされているため、ストレージVMを使った一般のHCIがVM→vSphere→ストレージVM→ストレージと3パスになるのに対し、VxRailではVM→vSphere→ストレージと2パスとなり、データパスのステップパス数が1回少なくI/Oに影響があり、搭載できるVM数も多くなるとVxRailのメリットをアピールした。
VxFlexの特徴
一方のVxFlexは、SDSとして旧ScaleIOであるVxFlex OSを利用。VxFlex OSはサーバのローカルストレージを抽象化して、プ-ル化。必要なストレージを自動的に割り当てバランスをとる。製品ラインナップとしてVxFlex Ready NodeとラックレベルのVxFlexがある。
VxFlexは、プール化したストレージ郡とそれを利用するサーバ群を別々に管理できるため、従来型のサーバストレージの2階層構造でも管理でき、同じサーバプール上で両方を稼動させればHCIとして運用できる。
EMCジャパン プロダクトアーキテクト アドバイザリ システム エンジニア 中村雅史氏は、「VxFlexはSDSから派生してきた製品で、HCIから派生した製品とはアプローチの違いがある」と説明する。
同氏はVxFlexの特徴として、複数のハイパーバイザーや複数のOSが混在した環境で利用できる点、ストレージやサーバのみの追加が可能な点、レイテンシが低い点を挙げ、複数のハイパーバイザーや複数のOSが混在した環境で利用できる点は他社との大きな差別化ポイントだとした。
VxFlexは並立処理を基本に考えているので、ノードを増やすと自動的にリバランスし、どこかで障害が発生した場合、それが復旧した場合も自動リバランンスが行われるという。
「ノートを増やせばパフォーマンスが上がり、レイテンシが低いのも特徴だ」(中村氏)
そして、VxRailとVxFlexの使い分けについて中村氏は、高いI/O性能が求められるアプリやDBの場合や、vSphere以外のハイパーバイザー、ベダメタルサーバを使いたい場合はVxFlexだと説明した。