キーサイト・テクノロジーは4月12日、最新の5G技術情報の紹介を行うプライベートカンファレンス「Keysight 5G Summit 2019」を開催。日本の5Gサービス立ち上げの成功に向け、継続的に技術開発の面からの支援を行っていくことを表明した。
米国ならびに韓国にて、5Gの商用サービスの立ち上げが発表されるなど、5G時代の幕開けとも言える2019年。日本でも「ラグビーワールドカップ2019 日本大会」が開催される2019年9月に合わせてプレサービスが開始される予定となっているほか、2020年には本格商用サービスが立ち上がるのに向けて、4社の通信キャリアに周波数割り当てがなされるなど、動きが活発化してきた。
こうした動きを踏まえ、同社代表取締役社長を務めるチエ ジュン氏は、「5Gが開く新たな市場の始まりの時で、特に楽しい時期でもあり、大きな変化が生じる時期でもある」と説明。5Gが、移動体通信という枠組みのみならず、社会のあらゆる場所に影響を及ぼすことを強調。将来のAIならびにIoT社会の到来に向けたターニングポイントになっているとする。
また、5Gの特徴である「超高速のモバイルブロード通信」、「大量のノード間通信」、「超低遅延かつ高信頼が求められるクリティカル分野の通信」といった技術の実現に向けた最先端の技術の多くが日本が開発に関与しているとし、韓国の5Gサービスの立ち上げなども含め、アジア地域が5G開発という視点では重要な地域になっているとした。
「5Gを実現するためには、単純に行っても、デバイスの中に入っているコンポーネントレベルから作り直す必要がある。そうした部品が重要なエコシステムになっており、そうした部品市場の中心に日本がいる。そうした先端部品が搭載された実デバイスのテストも必要だし、その先の基地局につながるためのネットワークテストやバックエンドのテスト、国内外のキャリア間の整合性なども計測器メーカーとしては標準化団体と協調しながら、そうしたテストのプロセスを決めていく必要がある一方で、キャリアごとに定められているテスト項目にも対応していかないといけない」(同)と、5Gの実現にはつながることが重要であり、そのためのテストは避けられないとのことで、基本的に日本で5Gにかかわっているほぼすべての企業は同社と協業する形で、開発を進めているという。
また同氏は、「端末であっても基地局であっても、良い技術だとしても、テストプロセスや量産ラインでテストができなければ実用化は難しい。キーサイトとしても、そこまで考えてサポートをする必要を感じて取り組んできた。特に5Gに関しては、ラグビーワールドカップや東京五輪というタイムスケジュールが存在しているため、プレッシャーが強い。その一方で、新技術が採用されるため、それを計測するための新たな手法を導入する必要があるなど、ハードルが高い」とも語っており、チャレンジングではあるものの、キーサイトが長年培ってきた知見の中にはミリ波帯におけるノウハウなども含め、さまざまなものが存在していることから、そうした知見を生かすことで、日本の顧客の5G立ち上げに向けて、顧客と密着して取り組むことで、成功に導いていければとしていた。
なお、同席した本社のWireless Test Business Vice President & General ManagerであるKailash Narayanan氏によると、すでに50GHzを超す周波数帯の移動体通信での活用に向けた話も進んでおり、100GHzや200GHz帯、果てはサブミリ波(テラヘルツ領域)の活用に向けた議論なども出ているとのことで、そうした将来の移動体通信分野における高周波を活用したいというニーズに応える計測手法の提供なども含め、今後も各国の通信業界のリーダー企業などと一緒に連携して、実現を目指していきたいとしていた。