インテルは4月9日、都内で記者会見を開き、データセンター(DC)向けの新しい製品ポートフォリオとして、第2世代 Intel Xeon スケーラブルプロセッサ、Intel Optane DC パーシステントメモリ、およびストレージソリューション、ソフトウェア、プラットフォーム技術を発表した。
新製品群は、クラウドコンピューティングからネットワークインフラストラクチャ、インテリジェントエッジアプリケーションまで、広範なユースケースを対象とし、AIや5Gといった高成長分野のワークロードをサポートする。
米Intel 副社長 兼 データセンター事業本部 クラウド・プラットフォーム&テクノロジー事業部 事業部長のジェイソンL・グリーブ氏は「直近2年間で世界のデータの50%以上が生成されているが、分析しているデータは2%以下となっている。クラウドの普及やAI&アナリティクスの発展、ネットワーク&エッジのクラウド化などコンピューティング需要増加に加え、多様化するワークロードニーズに対応する必要がある」と指摘した。
第2世代Xeon スケーラブルプロセッサは、パフォーマンス、AIの推論、ネットワーク機能、不揮発性メモリの帯域、セキュリティといった分野において強化が図られ、DC、エンタープライズ、インテリジェントエッジコンピューティング環境で画像認識、オブジェクト検出、画像セグメンテーションなどのAIの推論ワークロードを高速化できるように最適化されたディープラーニングブースト(Intel DLブースト)技術を統合。
DL ブースト技術をTensorFlow、PyTorch、Caffe、MXNet、Paddle Paddleなどのフレームワークやアプリケーションにおいて活用できるよう、最適化に向けてエコシステムを形成するパートナーと協業しているほか、OpenVINOなどの拡張ツールを利用することで、容易に開発・導入を進めることを可能としている。
Optane DC パーシステントメモリをサポートし、8ソケットシステムで従来型のDRAMと組み合わせた場合、システムレベルのメモリ容量は最大36TBとなり、前世代のIntel Xeon スケーラブルプロセッサの3倍になるという。
業務推進のワークロード処理に最適化された複数のプロセッサファミリとして56コア、12メモリチャネルのIntel Xeon Platinum 9200プロセッサ、エッジコンピューティング、セキュリティ、ストレージソリューション向けにはIntel Xeon D-1600プロセッサ、エッジコンピューティングやネットワーク(5G/NFV)、DCでのトランスフォーマティブアプリケーションの稼働を目指し、設計された次世代の10nmプロセスFPGAのIntel Agilex FPGAを発表している。
また、Optane DC パーシステントメモリはIntel Optane SSDおよびIntel QLC3D NAND SSDファミリーの新製品との組み合わせにより、データ処理のフローや準備を妨げるボトルネックを解消できるという。
Xeon スケーラブルプラットフォームにストレージのような大容量のメモリ容量を提供し、Optane SSD DC D4800X(デュアルポート)はOptane DC SSDのパフォーマンスとミッションクリティカルな高可用性エンタープライズITアプリケーションに必要なデータ回復力を備え、デュアル・ポート機能により、障害時やサービス動作時、アップグレード時にも継続的にデータにアクセスできるデータ経路の冗長性を確保するとしている。
さらに、SSD D5-P4326(Intel QLC3D NAND)は同社初のDC向けPCIe QLC NAND SSDに追加された新モデルとなり、64層QLC技術(4ビット/セル)を採用し、読み取り作業の多いクラウドでのワークロードに対して大容量化を実現し、追加コストの最適化により、ウォームストレージにおけるHDDからの置き換えを促進するという。
加えて、1GbEから100GbEまでのサーバー用イーサネット製品のポートフォリオとして、アプリケーションデバイスキュー(ADQ)技術を備えたIntel Ethernet 800シリーズは最大100Gbpsの伝送速度を実現。
クラウド、通信、ストレージ、エンタープライズ市場における大量のデータ転送に適し、ADQはアプリケーションの待ち時間の短縮やスループットの改善を図るとともに、アプリケーションの応答時間の予測可能性を向上するとしている。
提供開始については、第2世代Intel Xeon スケーラブルプロセッサ、Xeon D-1600プロセッサ、Optane DC パーシステントメモリ、SSD D5-P4326は、4月9日から提供開始し、Ethernet 800シリーズは現在サンプル出荷中で、2019年第3四半期に生産を開始する予定。
10nmプロセスFPGAのAgilex FPGAファミリは、2019年後半にサンプル出荷を開始するほか、Xeon Platinum 9200プロセッサ搭載システムは、2019年上半期に出荷が開始され、2019年下半期に出荷が本格化する見込みとなっている。なお、Optane SSD DC D4800Xの提供開始日は、後日公開を予定している。
インテル 代表取締役社長の鈴木国正氏は「米Cisco Syastemsの調査によると、2022年までの各国におけるデータ通信量の増加予測がインド、中国に次いで、日本は3番手につけている。われわれは5GやAI、IoT、自動運転をはじめとした新たな成長領域に注力しており、データの重要性が増すことは間違いないため、技術的な取り組みを継続している。企業が開拓していないデータからビジネスを創出できるよう積極的に支援していきたい」と、力を込めていた。