富士フイルムは4月4日、同社の医用画像情報システム「SYNAPSE」上で、CT画像からの臓器自動抽出や骨の経時変化表示など、AI技術を活用した画像診断ワークフロー支援を実現するAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)」を開発したことを発表した。発売時期は2019年7月予定。

  • システム構成図

    システム構成図

富士フイルムが開発した「SYNAPSE SAI viewer」は、同社のPACS「SYNAPSE5」と接続して使用するもので、AI技術を活用して同社が開発した3つの画像診断ワークフロー支援機能を搭載している。

  • 臓器抽出機能およびラベリング機能

    臓器抽出機能およびラベリング機能

7月の発売時点での画像診断ワークフロー支援機能として搭載されるのは、CT画像から肝臓・腎臓・脾臓などの臓器構造を自動抽出する「臓器抽出機能およびラベリング機能」。頸椎、胸椎、腰椎、肋骨を自動抽出し、医師が疾患の場所などを指し示す際に引用する「骨番号」を自動的に付与してCT画像の上に重ねて表示するという。

  • Virtual Thin Slice機能

    Virtual Thin Slice機能

また、同一患者において過去に撮影したCT画像と現在のCT画像の骨構造の位置合わせを行い、CT値の変化を経時的に可視化できる「骨経時サブトラクション機能」や、一般的な読影に使用されるスライス厚5mm程度のCT画像「Thickスライス」から、スライス厚1mm程度のCT画像「Thinスライス」を仮想的に生成する「Virtual Thin Slice(バーチャル シン スライス)機能」も搭載する。

さらに、「SYNAPSE SAI viewer」は、同社の3次元画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」で開発された、VRやMPRといった高速で3D画像の回転・拡大・縮小などの操作が可能。加えて、過去の検査画像において計測した部位と現在の検査画像の該当箇所を自動で認識し、その位置合わせをする計測・トラッキング機能を搭載するなど、画像診断における診断効率の向上と医師のストレス軽減に貢献するという。

そして、7月の発売以降も「SYNAPSE SAI viewer」で利用可能な新たな機能を継続的に開発し、追加アプリケーションとして提供していく予定だという。また、パートナー企業のアプリケーションも追加で提供していくということだ。

なお、富士フイルムは7月の発売に先駆け、4月12日~14日にパシフィコ横浜にて開催される「2019 国際医用画像総合展(ITEM2019)」において、同システムを出展するということだ。