SAPジャパン バイスプレジデント チーフトランスフォーメーションオフィサー兼デジタルエコシステム統括本部長 大我猛氏

SAPジャパンは4月2日、デジタルエコシステム戦略に関する記者説明会を開催した。

同社は、従業員がより価値の高い成果に集中できるように人工知能 (AI)、機械学習 (ML)、モノのインターネット (IoT)、アナリティクスなどの最新テクノロジーを活用する企業のあり方として「Intelligent Enterprise」を掲げている。Intelligent Enterpriseを実現するには、パートナー企業を主体としたエコシステムが重要な要素と考えている。

同日、エコシステム構築に向けた活動の一環として、パートナーエコシステムの拡充を推進する「デジタルエコシステム統括本部」とグローバルで豊富なデリバリー経験を持つ「デジタルビジネスサービス事業本部」が連携し、事業計画作成からデリバリーに至るまで、顧客のエンドツーエンドのプロセスをサポートする新たなパートナープログラム「パートナーサクセスプログラム」の提供を開始した。これより、説明会は「パートナーサクセス」に関する話が中心に行われた。

バイスプレジデント チーフトランスフォーメーションオフィサー兼デジタルエコシステム統括本部長の大我猛氏は「SAPのパートナーエコノミーの市場規模が今後5年間で2倍になると予測している」と説明した。現在の市場規模は、グローバルが1000億ドル、日本が7000億円だという。

  • SAPのパートナーエコノミーの市場規模

デジタルエコシステム統括本部は、パートナーによるエコシステムの成長拡大とオープンイノベーションの促進に向け、「SAP『パートナーサクセスプログラム』の提供開始」「パートナーによるインテリジェントエンタープライズの提案の加速」「ビジネス・イノベーターズ・ネットワーク(企業でイノベーションをリードする"企業イノベーター"の交流会)のさらなる活性化」を2019年の重点施策とする。

この度、新たなパートナープログラムを開始した背景には、パートナービジネスにおいて「SAPコンサルタントの不足」と「SAPのビジネスのポートフォリオの拡大」という課題を解決していきたいことがあるという。新たなパートナープログラムによって、SAPコンサルタントの増加とパートナーの転換の促進を狙う。

「パートナーサクセスプログラム」では、「パートナー同士のビジネスマッチング」「採用活動の支援」「SAP DBSによるパートナー主導のプロジェクトのサポート」を強化するほか、「アプリコンサルタント向けワークショップ」「テクニカルコンサルタント向けワークショップ」を新たに開設する。

  • SAP「パートナーサクセスプログラム」の全体像

インテリジェントエンタープライズの提案を加速するにあたっては、SAP S/4 HANAコンソーシアムとSAP Leonardoパートナーコンソーシアムを、「Intelligent Enterpriseパートナーコンソーシアム」に改組する。

SAPジャパン 常務執行役員 デジタルビジネスサービス事業本部長 工藤晶氏

「パートナーサクセス」向けた、デジタルビジネスサービス事業本部の戦略については、常務執行役員 デジタルビジネスサービス事業本部長の工藤晶氏が説明した。

デジタルビジネスサービス事業本部は「顧客がSAPを徹底的に使い倒し、Intelligent Enterpriseに変革することを支援する」をミッションとし、プロジェクトのライフサイクル全般にわたる支援を行っている。そして、プロジェクトライフサイクルのフェーズに従って、「トランスフォーメーション&アドバイザリー」「パートナーサクセス」「アダプション&コンサンプション」「イノベーション&イントロダクション」という柱から成る戦略を掲げている。

  • デジタルビジネスサービス事業本部の戦略

「パートナーサクセス」の実現に向けては「エキスパートワークショップ」「協働案件」「より深い協働案件」という活動が行われる。