PHPデベロッパーのJoe Watkins氏は3月30日(米国時間)、「Musings, ninja ones: PHP GR8」において、PHP 8を目処にJIT技術を導入することになると伝えた。PHPデベロッパーグループはPHP 7前後から特に処理速度の高速化に強い関心を示すようになっており、ベンチマークではこれまでのバージョンと比較してPHP 7系は優れたパフォーマンスを実現している。さらに実行速度の高速化を進めるために、JITの導入に取り組むという。
PHPの開発が高速化へ向かっていった理由の1つとして、Facebookが開発を進めてきたHHVMの存在が挙げられている。なぜなら、HHVMは当初JIT技術を導入したPHP実行環境とされ、実行速度が高速であることがうたわれてきたからだ。なお現在、HHVMはPHPのサポートを終了し、Hackと呼ばれるプログラミング言語専用の実行環境としての開発へ舵を切っている。
Watkins氏は、「JIT技術はコンパイラ技術として理解が難しく、開発者の中にもJIT技術に精通したものは少ない」と指摘。JIT技術を導入することで、コードが複雑になることにも言及している。実際にPHP 8にJIT技術が導入可能かどうかは、今後の開発状況次第になると見られる。
PHPを使って開発されるシステムはデータベースに接続して処理を行うことが多く、CPUバウンダリではなくI/Oバウンダリだと言われることが多い。JIT技術はCPUバウンダリの場合に特に効果を期待できるため、JIT技術の導入に関してその効果の如何についても意見が掲載されている。
しかし、JIT技術が導入された場合は機械学習や3D/2Dレンダリング、データ分析といった分野に対してもPHPの適用分野が広がることになるだろうといった説明も行われている。