IDC Japanは3月29日、IDC MarketScape調査方法論に基づき、国内マネージドクラウドサービス市場における主要ベンダーの競合分析結果を発表した。これによると、2018年の同市場における主要ベンダー8社のうち、3社が「リーダー」、5社が「メジャープレイヤー」になった。

現在の国内市場では、従来はクラウドの利用に保守的な姿勢を持った企業においても、クラウドの利用が進んでいるほか、従来からクラウドの利用に積極的であった企業は、クラウドの利用範囲を拡大し、多くの企業がクラウドファースト戦略に移行したことによって、クラウドを導入するシステム領域/ワークロードが拡大、多様化が進んでいるという。

これまでクラウドを積極的に導入してきた先駆的企業は、新技術の評価や活用は自らが率先して実践してきた一方で、近年はクラウドファーストへ移行した企業は、クラウド利用によって得られる効果に強い関心を示すものの、アセスメント/構築から運用まで多くの支援をサービスベンダーに求めている。

また、先駆的企業であっても、特にパブリッククラウドIaaS/PaaSを効率的に利用するために、外部サービスベンダーに運用を委託することが増加しており、マネージドクラウドサービスに対する需要が高まっているという。

現在、ほとんどすべてのサービスベンダーは、マネージドクラウドサービスを強化している一方、ユーザー企業の提案依頼(RFP:Request for Proposal)のスコープが特定のシステム領域/ワークロードに限定されることが多いことから、クラウドの適材適所と称しながら個別最適化に焦点を合わせた提案を行うサービスベンダーも存在する。

個別最適化を核とした提案は、目的の明確化といった点で効果はあるものの、システムのサイロ化を助長する危険性があることに加え、ユーザー企業が経営戦略として取り組むべきクラウド活用の成熟度の向上、さらにはクラウドジャーニー戦略の立案、遂行の支援には結び付かないという。

同社のITサービスのリサーチディレクターである松本聡氏は「ユーザー企業は特定プロジェクトだけに焦点を合わせてベンダーを選定するのではなく、クラウドジャーニー戦略を支援するサービスベンダーを選定すべきである」と分析している。