トラスコ中山は3月28日、日本IBMとSAPジャパンと2020年1月の稼働を目指し、基幹システムの更改および新規プロジェクトを開始したと発表した。
トラスコ中山は、年々増加するビジネスボリュームへの対応をスピードアップするとともに、得意先や仕入先へのサービスを向上させるため、社内で部門をまたいだプロジェクトチームを2017年10月に立ち上げ、主要ソリューションにはSAPのSAP S/4HANAを採用し、日本IBMがプライムパートナーとして企画構想段階におけるコンサルティングから要件定義、システム構築まで一貫して支援する。
プロジェクトの内容は「見積回答の自動化」「適正商品価格の自動算出」「仕入先との連携強化のためのポータル構築」の主要改革テーマ3点の実施と、新規サービスとして「MROストッカー」を開始する。
見積回答の自動化については、1日数万件を人手で対応している見積業務に先進テクノロジーを適用し、自動/半自動化することで社内業務工数の削減を図り、迅速な回答とサービスレベルの向上を実現するという。
適正商品価格の自動算出に関しては、日々更新される商品特性別かつ全国各地にわたる得意先別に、日々手作業で更新を続けていた特価のマスタ更新業務を統計に基づき自動算出することで、社内工数低減と更新漏れを防ぎつつ、適正価格を常に提供できる仕組みを準備する。
仕入先との連携強化のためのポータル構築では、電話やFAXなどのアナログな人的対応でやり取りを行なっていた見積や納期確認などの仕入先との連携業務を、基幹系の仕組みと連携した新しいプラットフォーム上に、Webポータル形式で実装することで、効率化とタイムリーな情報連携を促進する。
MROストッカーは、エンドユーザーの利便性向上を目的とした新規サービスとなり、工場内の生産現場などプロツールの使用現場に隣接したロケーションに、取扱商品各種を販売店様経由で取り揃え、ユーザーが欲しい時にすぐに商品を使えるサービスを新設し、販売店の即納を支援する。
今後、予定している機能としては注文や決済、在庫管理などの作業をICタグやスマホを利用して簡単に行えるような仕組みのほか、膨大な顧客データや天候データを分析し、現場に最適化された商材を提供する予定だ。同機能を実現するために、SAP S/4HANAの拡張機能開発を可能にするSAP Cloud Platform上で開発・連携するなど、一連の作業をデジタル化して効率を図るとともに、SAP LeonardoのIoT技術により顧客の情報を自動収集し、分析する機能を実現するという。
SAP S/4HANAの導入に関してはIBMのコンサルティングサービスである「IBM Impact Assessment for SAP S/4HANA」を活用することで、SAP S/4HANAの実現化に向けた影響分析、計画立案の精緻化を実施し、プロジェクトを進める。SAPジャパンは、Premium Engagementサービスおよびカスタマーケアプログラム、戦略的パートナー連携支援により、日本IBMのSAP S/4HANA導入およびSAP Cloud Platform活用の開発を支援している。