日本IBMは3月26日、都内でAIデータベースに関する記者説明会を開催した。説明会では、AIデータベースの製品コンセプトなどについて触れた。
冒頭、日本IBMクラウド事業本部 Data and AI事業部 Products & Solutions 統括部長の村角忠政氏は、企業におけるAI活用について「ステップ1ではチャットボットや画像認識OCRの導入などが挙げられ、今後はステップ2として単純なリプレイスではなく、業務プロセスやアプリケーションにAIが組み込まれるようになる。業務システムにAIをどのように組み込み、われわれが提供する製品でユーザーの業務プロセスをどのようにAI化していくのかということに主眼を置いている」と、強調した。
同社のデータベースは、オンプレミス製品として高速DWHから高可用性構成が可能なエンタープライズDB「IBM Db2」とDWHアプライアンス「Db2 Warehouse / Integrated Analytics System」、クラウド製品のハイパフォーマンスクラウドDWH「Db2 Warehouse on Cloud」、Db2のクラウド・ホスティングサービス「Db2 Hosted」、グローバルDR対応のフルマネージドOLTP DB「Db2 on Cloud」をはじめとしたポートフォリオを備え、AIデータベースはDb2の大きな節目だという。
従来からのAIを組み込んだデータベース「Powered by AI」は同社も含め他社も取り組んでおり、同社が定義するAIデータベースはAIを生み出すためのデータベースとして「Build for AI」と位置づけている。
今回、Build for AIの代表的な機能として「IBM Data Virtualization」「Cognitive Query」「Natural Language Query(NLQ)とDb2 Augmented Data Explorer」の3つが紹介された。
IBM Data Virtualizationは、システム別に点在する複数のデータソースに蓄積されているデータを物理的に1カ所に集約することなく、仮想的にデータ統合を可能としている。従来は、エッジ個々が受け取った命令に応じてデータ処理した上で結果を管理ノードに返し、管理ノードは各エッジから受け取った結果をマージし、さらに処理・演算を行っていた。
新機能は、エッジノードが周辺と自律的に最適ルートで通信処理し、エッジノード同士である程度の演算を完了させ、管理ノードは最後に必要最低限のマージ処理のみを行うため全体的に負荷の低減が図れるという。
7月から提供開始予定のCognitive Queryは、データソースを機械学習でクラスタリングしたり、分類したりすることで、SQLそのものを賢くすることを可能としている。これにより、隠された新たな洞察やトレンドを自動で導き出すことができるという。
β版を公開しているNLQとDb2 Augmented Data Explorerは、データベースはSQLを実行する必要があるが、NLQは自然言語によるデータアクセスをサポートし、NLQを用いたデータ可視化と予測分析が可能なDb2 Augmented Data Explorerで直感的かつ手軽にデータ活用を可能としている。これにより、データの性質、偏り、傾向などを自動的に回答する。
例えば「月ごとの平均売上」と自然言語で入力すればそのまま表示するほか、データを確認する変数も自動的に検知・レコメンデーションし、売上変遷の将来的予測も可能としている。
村角氏は「データベースをAIで強化し、業務プロセス/アプリケーションのAI化を促進、ユーザーを支援する」と、力を込めていた。
なお、フルマネージドサービスのDb2 on CloudとDb2 Warehouse on Cloudに関して、これまでのIBM Cloudに加え、3月末から北米のAmazon Web Services(AWS)のデータセンター上でも提供開始することを発表し、今後もほかのクラウドへの展開も予定している。