2019年第1四半期(1~3月期)の半導体ファウンドリ企業の売上高上位10社の売上高合計額は、前年同期比16%減の146億ドルに留まるとの予想を、台TrendFoeceが発表した。
同四半期は、さまざまな問題が市場に影響を及ぼした。前提として伝統的なオフシーズンによる影響で売り上げが下落しがちという点もあるが、それに加えて、コンシューマ製品に対する需要の減少、在庫水準の高さ、自動車市場における需要の低下、インテルのCPU出荷不足、中国の経済成長の鈍化、先の見えない米中貿易紛争など、さまざまな要因が世界市場に大きな不確実性をもたらしたといえる。
TrendForceでは、2019年通年のファウンドリ業界全体の生産能力を700億ドルほどと見積もっているが、先述したような政治や経済の情勢が今年の上半期に著しく改善しなければ、今年のファウンドリ業界の成長率はマイナスに転じる可能性があるとしている。
業界トップのTSMCだが、その売上高は業界全体の約半数を占め、2位以下を大きく引き離している。しかし、そんな同社であっても第1四半期の売上高は前年同期比で約18%のマイナス成長となる見込みである。
その最大の要因は台湾南部にあるFab14Bでフォトレジストの品質不良問題が同四半期中に発生し、数万枚の300mmウェハを破棄せざるを得なかったためだと見られる。また、それに加えて、同社の大口顧客である主要スマートフォンベンダの販売実績が予想を下回ったこと、仮想通貨の採掘ラッシュが鎮静化するなどといった影響があったこともマイナスの要因となったといえる。
たたし、レジストの品質問題で第1四半期に出荷する予定であった一部の製品が第2四半期に先送りされたといいつつも、年間の売上高への影響は軽微であり、むしろ「HiSilicon、Qualcomm、Apple、AMDなどの大口顧客とのコラボレーションが増収に貢献するので、2019年第1四半期を底に徐々に業績は回復していく可能性が高い」とTrendForceでは見ている。
業界2位となったSamsungだが、同社はファウンドリ事業を自社のシステムLSI事業部から2017年前半に分離しているものの、TrendForceが入手した売上高データは、非メモリ事業全体のものであり、システムLSI製造(スマートフォン用プロセッサやCMOSイメージセンサなど)とファウンドリサービス両方の売上高を含んだ結果となっている。この総額のうち、社外向けのファウンドリ事業の売上高は40%ほどを占めると推測されているので、実際のSamsung Foundryの売り上げ規模はUMCと同程度であると考えられる。同社は、TSMCのスーパーシャトルサービスと同様に、異なる顧客がマスクを共有するマルチプロジェクトウェハ(MPW)サービスを韓国器興(キフン)の古い8インチウェハを用いて推進しているのだが、それが同社の収益に徐々に貢献し始めている模様である。ちなみに、Samsungは2023年までに市場シェア25%の獲得を目指すとしている。
なお、2019年第1四半期の専業ファウンドリの業績だが、主に先端製品の需要が低調なため、300mmファブを主力とする多くの企業が2桁のマイナス成長となる一方、200mmが主体のファウンドリ各社は横ばいか緩やかな成長となる見通しだという。