PCには、権限管理のシステムが古くから備わっている。ファイルやフォルダを右クリックし、プロパティを開けば、グループやユーザーのアクセス許可を設定できる。組織であればWindows ServerやAzureにも展開されているActive Directoryでは、従業員のユーザー認証やグループポリシーの集中管理も提供している。部門毎に詳細な設定が可能で、開発者用のPCと経理部門のPCなど柔軟な役割も設定できる。機能は豊富だが運用ポリシーというインテリジェントな部分が難しい。重要文書のオンラインでの社内外でのやり取りとなればなおのことだ。
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、M&A(合併・買収)検討時のデューデリジェンス(資産査定)などに社内外関係者での重要文書・ファイル共有を行うVDR(バーチャルデータルーム)ソリューションの販売を開始したことを20日、発表した。
ソリューションは、世界170カ国でM&Aプロフェッショナル向けのテクノロジーを提供する米Merrill Corporation(メリルコーポレーション)のMerrill DatasiteOne。投資やファームなど機密や重要文書の取り回しが不可欠な分野でのテクノロジーを提供する同社が、M&Aのライフサイクルに合わせたVDRとして提供しているもの。閲覧やアップロード、検索やトラッキングなど大量文書の共有と権限設定、セキュリティの両立が必要なM&Aの現場サイクルに即した機能展開を図り、2018年秋には30以上の新機能を搭載するアップデートを行っている。ステータス可視化やルームセッティングの簡易化、マルチリンガルOCR/検索などユーザエクスペリエンスの向上を図っている。
販売を行うデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーはデロイト トーマツグループでM&Aアドバイザリー/企業再生/不正対応・係争サポート/知的財産アドバイザリーをサービス提供する企業。同社は、
・従来の物理的な空間でのデューデリジェンスでは、印刷やファイルコピーによって不用意な情報の流出を避けるために十分な情報提供が買収企業に提供されない
・資料閲覧のために売却企業の会議室が長期間に亘って確保されることで、売却の検討が社内に漏洩する
といった課題が物理的な環境を使用しないVDRによって流出リスクを管理した上で迅速で機密性の高いM&Aの検討が可能になることを述べている。専門性の高い分野では、サイクルやワークフローなど目的に応じたファイルソリューションが求められる。