個人から企業まで幅広い需要に応える銀座の紀州梅専門店
五代庵は東農園が運営する紀州梅専門店だ。1834年創業、1987年に株式会社改組と非常に歴史ある企業で、本社は和歌山にあるが東京でも銀座と目黒に出店している。2005年にオープンした銀座店は、自宅用はもちろん企業や店舗からの贈答用としての人気も高く、昼夜を通してさまざまな来店者があるという。
「夜になると近隣飲食店への配達へ行くことも多く、いろいろなお客さまに利用いただいています。個人のお客さまはもちろん、企業のお客さまもクレジットカードで決済されることが多く、オープン当初からクレジットカードに対応していたのですが、手数料の安さなどを理由にAirペイに切り替えました」と語るのは、紀州梅専門店 五代庵 銀座店 店長の新家昌春氏だ。
Airペイの導入は本社のシステム担当者主導で進められた。直接のきっかけは消費税増税と軽減税率の対策だったという。Airレジも同時に導入するため、iPadが補助金の対象だったこともAirペイを選定した大きな理由だが、手数料が安いこと、クレジットカード以外の多くの決済手段に対応できることが決定打となった。決済の半分以上がクレジットカードであるため、少額の手数料でも積み重なれば大きな違いとなる。さらに月6回の振込という入金サイクルの速さも小売店にとっては魅力だったという。
「実のところ、私はAirペイの導入に気乗りしていませんでした。というのも、Airペイは以前のシステムと違ってBluetooth接続を使います。この線がないところが不安でした。トラブルが起きやすくなるのではないか、そうした時に忙しいお客さまは待ってくれないのではないかと心配だったのです。ところが実際に入れてみると、いいことがたくさんありました」と、新家氏は振り返る。
Airペイ+Airレジで「すっきりレジ&簡単事務処理」を実現
導入自体は本社の担当者が対応したことで問題なく完了したが、最初のうちは担当者に電話で問い合わせることもあったという。
「エラーが出ると戸惑ってしまい何度か電話をしましたが、それも3カ月くらいで落ち着きました。使い方はとても簡単で、マニュアルを用意してもらっているのですが見たことがありません。慣れてしまうと操作は速いですし、多彩な決済手段に対応しているので便利ですね。特に交通系ICカードが利用できる点が喜ばれています」と新家氏。
銀座店はコンパクトなためレジ周りに余裕がなく、以前はカードリーダーの置き場に悩んで小さな棚を用意したものの使いづらかったが、Airペイによってすっきりと置けるようになったのも高評価だという。
Airペイと同時にPOSレジとしてAirレジも導入したことで、レジ周りは整然としている。2つのシステムを組み合わせたことで、以前はカード決済専用端末で処理してからレジ操作を行わなければならなかったが、その手間がなくなった。さらに、各種事務作業の軽減にもつながったという。
「締め作業が簡単なのも魅力です。銀座店は私と妻の2人で運営しているので、事務作業の手間が減ることは大きなポイントです。売上もレポートでいつでも見られるので、毎月の集計が楽になりました」と、新家氏は笑顔で語った。
梅に興味を持った外国人にもスムーズな対応を
当初は消費税対応を目的として導入されたAirペイだったが、クレジットカードへの対応力を向上させたことで、外国人観光客への対応もしやすくなるという効果もあった。
梅干しに注目する外国人はまだ多くないが、それだけに気になった時に購入しやすい場所も少ないのだろう。数少ない梅干し専門店であるとともに、銀座という海外からの観光客の多い土地の路面店ということから、インターネットで調べたらしい観光客が来店することは少なくないという。
「特別な案内をしているわけではないのですが、お客さまの1割くらいが海外の方です。中国系はもちろん、東南アジア全般からいらしているようです。銀座という土地柄か、以前から海外のお客様はいましたが、5年ほど前から特に増えたように感じています」と新家氏。
外国人は元々ショッピングでクレジットカードの利用率が高いが、銀座では多くの店舗がクレジットカードに対応しているため、当然使えるものと考えている様子が見受けられるという。そんな時も、多彩なカードに対応したAirペイのシステムと、レジ前に展示してある対応決済手段の一覧が役立っているようだ。
「海外からのお客さまはほぼ100%クレジットカード決済です。一方、日本人はSuicaを使うお客さまが多いのですが、たまにQUICPayを希望される方もいて驚くことがあります。それでもAirペイが対応しているので、決済はスムーズです」と、新家氏は日本人と外国人の双方に対し変わらぬ対応ができている様子を語った。
Airペイは中国人観光客が利用することが多いWeChat、Alipayにも対応している。五代庵もこれを利用しており、今のところは導入1年で10回程度の利用と数は多くないものの、現場での需要に十分に応えられているという。
2020年へ向け、インバウンド対応をさらに強化
梅干しは試食した外国人に驚かれることもあるが、梅酒は外国人からの人気が高く、試飲して購入に至るケースが多いそうだ。そのため、梅酒はカタログの英語表記も行っている。これから日本食文化がより深く認知されたら、外国人の関心は梅酒から梅干しへ波及する可能性はあるだろう。
「店舗としては外国人のお客だけを特別に増やそうとは考えていませんが、2020年にオリンピックが開催されるので、外国人のお客さまは増えるでしょう。Airペイのおかげでクレジットカード対応は万全なので、値札の英語表記などを進めていきたいですね。あとは、私が英語を話せるようになることでしょうか。今のところ、話せなくても決済がスムーズにできてしまうのであまり困っていないのですが」と新家氏は笑う。
少人数で運営している店舗で多彩な顧客に対応するには、本来の業務以外に必要となる事務作業をできる限り抑える必要がある。日本人だけでなく外国人への対応も多い銀座店を切り盛りする新家氏にとって、本業に集中できる環境が整ったことは大きな効果があったようだ。