富士通と富士通アドバンストエンジニアリングは3月11日、熊本地震により崩落した熊本城飯田丸五階櫓における、画像処理技術を用いた石垣石材の崩落前の位置を特定する実証実験を、2018年11月から約1か月の間実施し、80%以上の精度ならびに作業時間を大幅に短縮できることを確認したと発表した。

  • 崩落後の熊本城飯田丸五階櫓(出所:富士通ニュースリリース、熊本城総合事務所提供)

    崩落後の熊本城飯田丸五階櫓(出所:富士通ニュースリリース、熊本城総合事務所提供)

この実証実験では、大量画像の中から指定した画像に部分的にでも一致する画像を高速に検索する高速部分画像検索技術、ならびにその検索の精度を高める画像最適化技術を組み合わせた石材位置特定システムを開発。崩落した石材の画像と崩落前の石垣画像とをマッチングさせ、精度の向上ならびに検索時間の短縮を試みたという。

実際に崩落があった熊本城飯田丸五階櫓の石垣にて、すでに熊本市が特定された123個の石材を対象に実施。画像から石材の部分のみの切り出しや、石材や石垣の表面の明るさなどの特徴を際立たせる画像最適化技術を適用することで検索の精度を高め、崩落後の石材が崩落前の石垣のどの位置のものか、より類似度の高い画像を特定する一連の流れを繰り返し行い、精度の向上および検索時間の短縮に取り組んだという。

その結果、最終的に1日で101個の石材の正確な位置を特定でき、82.1%(101/123個)という高い精度を得られたほか、その作業時間も大幅に削減できたという。

  • 実証実験のイメージ (出所:富士通ニュースリリース)

    実証実験のイメージ (出所:富士通ニュースリリース)

両社は、今後本格化する熊本城復旧作業の効率化支援に向け、同技術の精度をさらに高めるとともに、他の文化財復旧支援への適用を進め、文化財復旧支援ソリューションとして2019年度中の商品化を目指すとしている。