富士通とみずほ銀行は3月7日、2016年12月から実施した実証実験の成果を踏まえ、電子請求(EIPP:Electronic Invoice Presentment and Payment)と金融EDI(Electronic Data Interchange:商取引に関する情報を標準的な形式に統一し、企業間で電子的に交換する仕組み)を活用した請求支払業務電子化・売掛金消込自動化サービスの共同開発に取り組み、サービスの開発が完了したと発表した。
両者は、2016年12月~2018年12月まで紙を介して行われている商取引の請求・支払業務へのEIPP・金融EDIの導入により、請求から支払、入金までの一連の取引をすべて電子化することで、企業における売掛金消込自動化の向上を目指し、実証実験を行った。
実証実験の結果、サプライヤー企業(請求書発行側)およびバイヤー企業(請求書受領側)双方において、請求・支払業務に要する作業時間を大幅に削減する効果が確認した。
具体的なサプライヤー企業の効果として、実証実験に参加した大手企業A社の財務経理部門では業務全体のうち、請求および回収に関する事務作業が47%を占め、中でも紙の請求書発行から入金消込業務に多大な工数を費やしていたため、請求書発行を電子化することで、47%にあたる請求・回収業務のうち約98%の時間が削減され、財務経理部門の業務工数を約半減し、月約2550時間削減できることが確認できたという。
一方、バイヤー企業の効果は実証実験に参加した企業65社のうちB社、C社、D社とも月175時間以上の作業時間削減の効果が確認できたとともに、50%以上の工数削減が見込まれとしている。なお、参加企業による評価として、従来の紙媒体の請求書に記載していないデータ項目(契約時の情報など)を参照できるようになった点などが挙げられた。
新サービスは、既存システムに依存しないクラウドサービスであり、自社の購買システムの大規模改修などが不要なため、導入の初期投資を抑制できるように設計した。請求書の電子化により、サプライヤー企業においては請求書の郵送コストや発行業務工数の削減効果に加え、電子請求書の情報がバイヤー企業からの振込に用いられることで入金消込業務の効率化が期待されるという。
バイヤー企業においては、請求書を電子データで受け取ることで、自社の購買システムでの買掛金との照合が容易になりることに加え、支払時に当該請求書データを用いて振込を行うことで、サプライヤーからの照会対応負担の削減につながることが期待できるとしている。