台TrendForceの半導体メモリ市場調査部門であるDRAMeXchangeは、2019年第1四半期のDRAM大口契約価格が、前四半期比で25~30%程度の大幅な下落となりそうだとして、3月5日付けで市場予測のさらなる下方修正を発表した。
四半期(3か月)ごとの下落としては2011年以来の記録的な急激な下落になりそうだという。TrendForceは、2019年第1四半期におけるDRAM価格の下落率(前四半期比)を2019年年初に15%と予測していたが、具体的な数字が見えてくるにしたがい、20%、そして20~25%へと立て続けに下方修正してきた。それでもDRAM価格は、彼らのような市場調査会社の予測をはるかに上回る勢いで下落が進んでおり、DRAMeXchangeの最新の調べによると、ほとんどの大口需要家は、DRAM価格の急激な下落を見込んで、従来の四半期ごとの契約を取りやめ、月ごとの取引をしているという。
DRAMの契約価格は、2018年第4四半期に下落を開始して以降、DRAMサプライヤの在庫水準が上昇を続けており、ほとんどのDRAMサプライヤは現在、なんと6週間分の在庫を保有している状態にあるという。その一方で、IntelのローエンドCPUを中心とした供給不足は2019年第3四半期の終わりまで続くと予想されるうえに、PCそのものの需要減退のためにPC OEMはDRAMチップを消費できる状況にないという事態となっている。
このように市場全体が急激に悪化していっているため、DRAM価格の下落が出荷数量の伸びにつながり、結果として売り上げが拡大するという状況にはなっていない。需要が大きく回復しない限り、過剰ともいえるほど高い在庫水準が続くため、2019年のDRAM価格は下落の一途をたどるとDRAMeXchangeは見ている。
また1〜2年先のDRAM市場を見わたすと、市場を寡占する大手3社(Samsung Electronics、SK Hynix、Micron Technology)が、市場シェアの奪い合いに巻き込まれる可能性は少ないとDRAMeXchangeは見ている。例えばSK Hynixは最近、競争力を向上させるための戦略の一環として、4つの新しいウェハ製造工場を建設するために120兆ウォンを投資すると発表した。一方、Micronは台湾にICテストおよびパッケージング工場の建設を開始したのと併せる形で、同社子会社のMicron Memory Taiwan(旧Rexchip)が、新たな300mm DRAMウェハファブの建設を検討している。新工場は2020年末までに竣工し、2021年から量産を開始する計画である。そして世界最大のDRAMサプライヤのSamsungも現在、韓国平澤(ピョンテク)に2番目のDRAM製造棟を建設中である。3社とも、市況が回復する将来を見据える形での生産能力増強計画であり、その磐石な体制は、業績面は別として、よほどのことがない限りは覆りそうにない。