宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月5日、2月22日に小惑星リュウグウへのタッチダウンに成功した小惑星探査機「はやぶさ2」の次なるミッションとして、4月1日週にクレーター形成実験を実施する予定であることを明らかにした。

人工クレーターは、はやぶさ2に搭載されている衝突装置(SCI)を用いて行うもので、人工クレーター形成に成功した場合、その内部またはその周辺を2回画のタッチダウン候補として検討するという(実際に2回目を実施するかどうかは、SCI運用後に判断。人工クレーターとはまったく別の候補地点に着陸する可能性もある)。またJAXAは併せて、3回目のタッチダウンを行わない可能性が高いことも示唆。人工クレーター形成実験を優先させた理由として、1回目のタッチダウンで、サンプルは十分に採取できていると判断したこと、ならびに1回目のタッチダウンで底面の光学系の受光量が低下したものがあり、通常の運用では問題ないものの、タッチダウン運用を行うためには、慎重な事前調査を行うための時間が必要となることを挙げており、総合的な判断から、SCI運用を先行して行うことを決定したとしている。

そのため、今後のスケジュールは、3月6~8日にかけて次のタッチダウン候補地点であるS01エリアを高度20mくらいまで降下して詳細な状況の観測を実施。その後、3月20~22日にかけて、人工クレーターを形成するポイント(S01付近)の周辺の撮影を、クレーターが形成される前後で比較するために実施。その後、4月1日週に実際に人工クレーターの形成を実施。人工クレーター形成の影響が収まった4月22日週に、人工クレーターによる地形の変化の観測を実施。そして、人工クレーターの出来具合から、5月以降の活動計画を決定していくとしているが、5月の早い段階で2回目のタッチダウンを実施したいとしている。

  • はやぶさ2運用スケジュール

    2019年3月5日時点の「はやぶさ2」の今後の運用スケジュール (C)JAXA

なお、その後は、7月にはリュウグウと太陽との位置関係から、温度が上昇し、はやぶさ2が耐えられなくなることから観測運用と残っているMINERVA-II2の分離運用を行い、11~12月にリュウグウを出発。2020年末に地球帰還というスケジュールとしている。

  • 人工クレーター形成

    S01エリアならびにSCI運用エリアはほぼ同じ領域。人工クレーターを形成できそうな場所の選定には、人工クレーターが形成された後に、状況が許せば着陸に挑むため、着陸できる可能性が高い場所を検討した結果、重なったという。ちなみに、第1回目のタッチダウンポイントは「たまてばこ」というニックネームがJAXA内部では付けられた(ただし国際天文学連合(IAU)に認められた地名ではない) (C)JAXA