ヤマハは2月27日、成田空港ビジネスの協力を得て、成田国際空港(千葉県成田市)内の「NARITA PREMIER LOUNGE(ナリタプレミアラウンジ)」において開発・検証を進めている「仮眠システム」(プロトタイプ)のトライアルを実施すると発表した。今回、検証する「仮眠システム」は、同社が培った音に関する技術を活用し、快適な入眠や目覚めをサポートするものとなる。
検証期間は2月27日~3月28日(各日8時~11時30分、14時~17時、実施期間は予告なく変更する可能性があり)となり、2台の仮眠システムを設置し、音を使った快適な入眠と起床を提供し、利用者にはアンケートを実施する。
グローバル化にる24時間社会やシフト勤務で仕事時間の分散化なども進む中、十分な睡眠を取ることができない場合が多くあり、特に日本では約5人に1人が睡眠状況に不満を持つという調査結果(厚生労働省 平成29年国民健康・栄養調査)も出ており、その損失は試算によっては約3.5兆円(日本大学医学部 内山真教授が2006年に発表した試算結果)とも言われている。
睡眠不足などから来る眠気に対して有効とされるのが仮眠であり、「健康づくりのための睡眠指針2014」(厚生労働省 2014)では午後の短い昼寝が能率改善につながるとし、仮眠を推奨しているほか、海外では仮眠はパワーナップ(Power nap)として認知されるなど、その有効性が証明(Takahashi M. The role of prescribed napping in sleep medicine. Sleep Med Rev 2003;7:227-235)されているという。
こうした状況を受け、同社では生体リズムに連動した「快眠音」で心地よい入眠をサポートする技術の開発を進めている。これまでの社内調査では主に通常の生活リズムにある者を対象としてきたが、今回、国際空港という環境下で時差ぼけや睡眠不足が懸念される人を対象に体験してもらうトライアルを実施する。
仮眠システムは、生体リズムに連動した快眠音で短時間での入眠をサポートすることに加え、環境ノイズをマスキングし、静かな眠りを提供するという。
また、インテリアラーム(ストレスを感じやすい高い周波数帯域を最初はカットして、徐々に音量を大きくするヤマハの独自技術)でスッキリとした目覚めを促進するほか、リクライニングチェアとパーソナルなスペース設計でくつろぎのプライベート空間を確保するとしている。さらに、アプリから電源を入れて再生ボタンを押すだけの簡単操作であり、最長30分の仮眠時間に対応するという。