サイバーエージェントのアドテクスタジオは2月28日、ブロックチェーンスタジオにおいて、ユーザー個人が自らの意思でパーソナルデータを価値に変えることができるデータ流通プラットフォーム「Data Forward(データフォワード)」を開発し、今後の提供にむけてサイバーエージェントグループ社員を対象としたα版の実証実験を開始した。

近年、国内では総務省・経済産業省を中心に情報銀行の社会実装に向けた取組みが行われており、昨年12月からは情報銀行の認定制度が始まるなど、情報活用基盤の整備が進んでいる。個人の意思に基づいたパーソナルデータの流通・活用の推進が進むなか、今後は広告市場においてもパーソナルデータを活用したマーケティングが促進すると予想されているという。

このような背景のもと、ブロックチェーン分野におけるサービスの研究・開発強化を目的に昨年8月に設立したブロックチェーンスタジオでは、広告マーケティング領域においてパーソナルデータを活用したサービスの研究・開発に取組んできた。

データフォワードはパーソナルデータをユーザー自身で管理し、自らの意思で個人のパーソナルデータを様々な価値に変えること可能なブロックチェーン技術を活用したデータ流通プラットフォーム。

ユーザーの趣味や嗜好、体調などのパーソナルデータは個人が保有する端末のアプリケーション内にあるパーソナルデータストア(PDS)に保存され、ユーザー自らの意思・同意に基づき企業へ情報提供を行う。自らの意思により情報提供を行ったユーザーは、その対価としてギフトカードなどに交換可能なポイントを受け取ることができるとともに、享受したポイントの交換履歴やパーソナルデータの提供先などを、常に自身で把握することを可能としている。

  • 「Data Forward(データフォワード)」の概要

    「Data Forward(データフォワード)」の概要

データフォワードでは、分散型PDS(パーソナルデータを個人が保有する端末などで蓄積・管理すること)を用いることで、同社ではパーソナルデータを保有せずにデータ流通情報をブロックチェーン技術で管理し、信頼性を担保しているという。

実証期間は2月中旬から2カ月程度を予定し、対象者はサイバーエージェント従業員(グループ会社含む)のうち、利用内容などについてあらかじめ同意を得た1000人程、内容は(1)サービス利用における、ユーザーの一連体験(UI/UX)の検証、(2)ブロックチェーンを活用したデータサービスにおける技術検証、取得するパーソナルデータは基本情報(誕生年・性別・居住地・都道府県)、位置情報、端末情報(OSのバージョン、端末名、容量、使用可能容量、キャリア)、ヘルスデータ(歩数、消費カロリー、心拍数)となる。

今回の実証実験では、ユーザーのデータフォワード利用における一連の体験を通し「どのような条件下であれば情報提供を行うのか」「どのようなパーソナルデータであれば提供できるのか」といった、ユーザーのパーソナルデータに対する意識調査を実施。

また、サービスの正式版提供に向け、今回の実験で得られた知見をもとに、さらなる開発と品質向上に努めるとともに、ブロックチェーン技術を活用したデータサービスの可能性を検証していく。

今後、データフォワードではスマートフォンやスマートウォッチなどで取得できるヘルスデータなどの情報だけでなく、他サービスとの連携を通じて取得可能な情報を増加させる予定。

これにより、ユーザーは多くのパーソナルデータを自らの選択で価値に変えることができるとともに、将来的にパーソナルデータを受取った企業は、入手したパーソナルデータに基づいて属性や趣味・嗜好、行動パターンに合わせた情報提供をするなど、さまざまなマーケティング活動への活用が可能となるという。