サイボウズは2月27日、都内で2018年12月期決算発表と2019年度の事業戦略説明会を開いた。説明会には同社 代表取締役社長の青野慶久氏が登壇した。
サイボウズ史上最大の売上高
まず、青野氏は2018年における決算の概況について説明した。同社の2018年12月期の売上高は前年比(2017年12月期)18.9%増の113億300万円、営業利益は同37.5%増の11億300万円、経常利益は同45.4%増の11億9400万円、当期純利益が同57.7%増の6億5000万円となった。青野氏は「サイボウズ史上最大の売上高だ。クラウド関連サービスが前年比31.6%増の74億円3400万円となり、全体の3分の2を占めている」と、力を込める。
2019年は売上高が129億2300~133億2300万円、営業利益が8億3200~12億3200万円、経常利益が8億8800~12億8800万円、当期純利益が3億7300~7億7300万円を計画している。
各製品ともに導入社数は堅調に推移
同社のグループウェア事業は4月15日に終了を予定している無料グループウェア「サイボウズLive」、中小企業向けグループウェア「サイボウズOffice」、大規模・中小企業向けグループウェア「Garoon」、ビジネスアプリ作成プラットフォーム「kintone」、メール共有ツール「メールワイズ」で構成されている。
サイボウズOfficeは2018年に累計導入企業数が6万社(2018年12月時点)を突破し、3年連続過去売り上げを達成している。これは、同社が実施した購入者アンケートによると、Officeが自社初のグループウェアであると回答した企業が48%、前職で利用していた経験から購入したor知人から話を聞いて購入したという企業が51%と、口コミにより順調にユーザーが増加していることが背景にあるという。
Garoonは導入社数が5000社(2018年12月時点)に達し、2019年はクラウド版が売上全体の半数に到達すると予測。2月27日には明電舎が7000人規模の情報共有基盤として、同製品およびkintoneの導入を決定している。これまで、JavaScript APIやREST API、OAuth認証とAPI拡充によるカスタマイズ性の強化を図っており、引き続き2019年もAPIの拡充を予定し、エコシステムを拡大していく。
kintoneは、累計導入社数が1万1000社(2018年12月時点)となり、売り上げが前年比1.5倍、導入社数が同1.4倍と好調に推移している。ユーザー企業の業種も情報通信業から卸売業・小売業、製造業、サービス業、建設業、学術など多岐にわたり、導入担当者の部門内訳は比IT部門が8割を占め、1日あたり1663個のアプリが作られており、マルケトと販売活動において戦略的協業を発表している。
さらに、エコシステムの多様化が進む状況を受け、自社開発・カスタマイズのニーズが増加していることから、ユーザーとの対面開発、活用教育に加え、プラグイン/ノンコードサービスを提供していく方針だ。また、2月27日には3月からモバイル版をリニューアルすると発表している。
一方、海外事業では中国において全製品を含めて1000社以上、東南アジアなど400社以上にそれぞれ導入されており、現状では日系企業が大半を占めるものの、ローカル企業への販売拡大を進めていく考えだ。また、米国では夏に基盤にAmazon Web Servicesを採用した「kintone.com」のパブリックリリースを予定している。
青野氏は「日本企業の総数を考えると、グループウェア時代はこれからだ。現状ではPCとネットをはじめとしたITにより、生産性は高まっているが、個人の強化や強者が稼ぐアプローチになってしまっており、機械を使いこなせるか否かで情報格差が生まれている。これからはマルチ端末やクラウド、グループウェアを活用し、個性を活かすことでチーム強化、個性を活かす共有化の時代を迎える」と述べていた。