リコーとシスコシステムズは2月26日、グローバルな戦略的提携に合意し、リコーの顧客に対し、クラウド、ネットワーク、デバイスの3つのレイヤーで、シスコのセキュリティソリューションを活用し、よりセキュアなクラウドソリューションを提供していくと発表した。

  • リコー 代表取締役 社長執行役員 CEO 山下良則氏(左)と米Cisco Systems エグゼクティブバイスプレジデント 兼 最高財務責任者 ケリー クレイマー (Kelly A. Kramer)氏(右)

当面は国内で展開し、今後、グローバルに拡大していく。

リコー 執行役員 プラットフォーム統括本部長 野水泰之氏

主要な顧客としては中小企業のほか、大企業の支店や営業所等を想定しており、リコー 執行役員 プラットフォーム統括本部長 野水泰之氏は、「社内システムでセキュリティに従事する人材が不足している、IT管理者が不在でセキュリティで何をすればいいのかわからないという人がターゲット」と説明した。

  • 協業のターゲット

  • クラウド、ネットワーク、デバイスの3つのレイヤーでシスコのセキュリティソリューションを活用していく

野水氏は提供するソリューションの例として、複合機でスキャンしたデータをクラウド型のストレージに保存する場合に、シスコのソリューションで保存されたデータのキーワード検索を行い、機密文書が共有フォルダに保存されていないかをチェックし、メールで警告したり、共有設定を自動的にOffにするといったことが考えられるとした。

  • ユースケース①

また、設定管理をクラウドで行えるシスコのMerakiルータを利用し、複数拠点のネットワークを一括設定したり、リコーのデバイス管理システム「RICOH Streamline NX」とネットワークにつながれた機器の自動検知を行うCisco ISEが連動することで、不正デバイスの検知と自動遮断が可能になるという。

  • ユースケース②

  • ユースケース③

リコーでは、4月から一部企業に試験導入し、その結果を踏まえ、今年の9月から本格販売するという。その場合は、業種別にパッケージ化することを考えているという。

リコー 代表取締役 社長執行役員 CEO 山下良則氏は、「企業においてはオフィスと現場があり、これらにはまだアナログをデジタル化するチャンスがある。また、働く場所を考えると、世界のあらゆる場所で働けるという環境になっている。物理的に離れた場所にいる人同士はデータのやりとりを行うが、それをセキュアに行えるようにすることがリコーの責任であり命題だ。今回の提携により、それを実現する上での最高・最強のパートナーを得た」と、今回の提携の背景を説明。

一方、米Cisco Systems エグゼクティブバイスプレジデント 兼 最高財務責任者 ケリー クレイマー (Kelly A. Kramer)氏は、「リコーとシスコは、セキュアなクラウドベースのサービスによって、デジタルワークプレイスを可能するという発表をした。リコーはクラウドベースのドキュメント管理やワークフローを提供しており、シスコはセキュリティソリューションを提供している。この2つのパワフルなブランドが一緒になることで、業界を大きく変えることができる」と豊富を述べた。

リコーは、2019年1月に新世代複合機「RICOH IM Cシリーズ」とクラウドプラットフォーム「RICOH Smart Integration」の提供を開始し、クラウドとの連携を特徴とする新たな複合機を発表。また、4月からは、「RICOH IM Cシリーズ」とパートナーのクラウドサービスを連携させる「RICOH Smart Integrationパートナープログラム」を開始する。今回の提携は、それのさきがけとなるものだ。

今後は、RICOH Smart Integrationとシスコのクラウドセキュリティソリューションの連携により、「RICOH IM Cシリーズ」をはじめとするさまざまなオフィス機器と複数のクラウドサービスをCisco Merakiによりシームレスかつセキュアに接続し、導入・運用管理工数を効率化するソリューションを提供。

また、RICOH Smart Integrationとシスコが提供する情報漏洩検知・防止機能や高度な認証機能を組み合わせることで、より高度なセキュリティレベルを必要とする業務への対応を行うとしている。