ルネサス エレクトロニクスは、フラッシュメモリ混載28nm低電力プロセスを採用した次世代車載制御マイコン向け技術として、600MHzで動作するCPUコアを4つと16MBの組み込みフラッシュメモリを搭載したテストチップを開発したことを発表した。

  • ISSCC 2019

    ルネサスがISSCC 2019にて発表したテストチップの概要 (資料提供:ルネサス)

同成果の詳細は米国サンフランシスコで開催された「国際固体素子回路会議(ISSCC 2019)」にて発表された。

同テストチップでは、エレクトロニクス化が進む自動車分野におけるECUの増加という課題に対応することを目的に、仮想化時のオーバーヘッドを低減し、応答性能を高めることが可能なハードウェアによる仮想化支援機構を搭載。異なる機能安全レベルのソフトウェアを独立して複数搭載することができることから、仮想化とリアルタイム性を両立するASIL Dに対応可能なマイコンの実現につながるという。

  • ハードウェア仮想化

    ハードウェアによる仮想化の概要 (資料提供:ルネサス)

また、ASIL Dを満たすためのマイコンの自己故障診断機能として、チップがスタンバイから復帰するたび、CPU動作前に実行することで、電流変動率を抑制したSR-BIST(Standby-Resume BIST)を開発したほか、複数のセンサやカメラの活用に向け、電気的ノイズ耐性に優れたSGMII(Serial Gigabit Media Independent Interface)規格に対応した1Gbpsイーサネットを、5Vトランジスタを用いて開発。5Vトランジスタ使用による信号帯域の悪化に対しては、送信/受信にそれぞれ専用回路を追加することでSGMII規格に準拠する信号品質を実現したとしている。

  • SR-BIST

    SR-BISTの概要 (資料提供:ルネサス)

  • SGMII規格

    SGMII規格準拠の5Vギガビットイーサの概要 (資料提供:ルネサス)

なお同社では、今回開発した技術をベースに今後、28nmフラッシュメモリ内蔵マイコンを展開していくことで、車載マイコンビジネスの拡大をはかっていきたいとしている。