価格下落が続く第1四半期のDRAM市場
台湾TrendForceの半導体メモリ市場動向調査部門であるDRAMeXchangeによると、2019年第1四半期(1~3月期)のメモリ需要は、季節的な閑散期と前四半期から持ち越された在庫水準の高さのため、きわめて低調に推移しており、供給過剰状態の解消にはまだ時間がかかりそうだという。
そのため、すべての主要アプリケーション市場におけるDRAM製品の大口契約価格が1月で、前月と比べて15%を超す下落幅を記録しているが、2月そして3月とさらに下落が続く可能性が高いとのことで、2019年第1四半期の契約価格の動向については、PC DRAM市場は前四半期比20%以上、おそらく25%程度の下落幅になると予測しているほか、サーバDRAMはさらに下落幅が大きく、同30%近くの下げ幅になると予測している。
DRAM価格の下落はいつまで続くのか?
また、DRAMeXchangeでは、第2四半期のDRAMの需給バランスに関して、在庫を適切なレベルまで調整するには時間がかかるため、需要は回復の兆しを見せつつも、供給過剰の状況が続いていくと指摘している。
その結果、主流のDRAM製品の契約価格は、第2四半期も平均して15%ほど下落すると見られており、年後半についても、世界的な政治的ならびに経済的な出来事から生じる不確実性が、需要の伸びを抑制し続ける可能性が高いという見方から、5GやIIoT、自動車関連といった分野で需要の伸びが期待されているものの、DRAM市場のまだ一部の規模しか担えていないことから、プラス要因としてはたいしたインパクトにはならないとしている。
また、DRAMメーカーが生産能力の拡大を抑制することで、需要と供給のギャップを埋めようとしているが、それだけでは現在のDRAM価格の下落の流れを止めることは出来ず、今後も数四半期は下落幅は緩やかになっていくものの、価格下落は続いていくだろうとの見方も示している。
ほとんどのアプリケーションで価格下落が継続
アプリケーション別のDRAM価格の動向だが、需要の変化にもっとも敏感で、全体的な価格の先行指標と見られるPC DRAM分野は、2018年第4四半期に前四半期比10%の下落に続き、2019年第1四半期も25%近くの下落率となる見通しだ。そのため、主流の8GBモジュールの平均契約価格も45ドルを切ろうか、というところまで下落しているというが、第2四半期もさらに15%ほど下落する見込みだという。
また、2017年および2018年のメモリバブルでもっとも価格上昇の恩恵を受けたサーバDRAM分野も、2018年後半からサーバ需要が減速したことを受け、在庫が増加。2019年第1四半期は、この在庫の削減が業界の重要課題となっており、毎月のように価格下落が続いているが、サーバDRAMの在庫が最適なレベルに戻るためには、数ヶ月を要すると見られていることから、価格の下落率ももっとも早い予測でも第3四半期までは緩やかにならないものとしている。
唯一状況が異なるのがモバイルDRAM分野だが、これは2017年ならびに2018年のメモリバブルの際の価格上昇がPC DRAMやサーバDRAMに比べて低かったためで、その結果、下落率も低くなっている。とはいえ、ディスクリートならびにeMCPの契約価格の下落率は、それぞれ前四半期比10~15%、15~25%と決して穏やかなレベルではない。第2四半期も、ハイエンドAndroid端末などが各社から販売される見込みだが、需要の伸びがDRAM価格の下落を上回るほど高まらないと見られており、同四半期におけるeMCPの契約価格の下落率は10~15%ほどとなる見通しだという。
このほか、特殊DRAM分野の契約価格も、第2四半期で前四半期比10~15%ほど下落することが予測されており、その後も近々に需要が力強く回復することが見込めないため、短期的に価格が上昇するようなことはしばらくないとしている。
なお、2019年第1四半期におけるすべてのアプリケーションを交えたDRAMの平均販売価格(ASP)は前四半期比20%の下落、そして第2四半期も同15%の下落になるとDRAMeXchangeでは予測している。